第72話 真実の扉
機械兵器と戦い始めて数分後
「52268体目、多すぎる」
なんというか、ありえないほどに数が多い。この感じをエイルは機神王エクス・マキナとの戦いに重ねていた
機神王エクス・マキナ。無限に湧き出る機械の兵士たちを用いて世界を終幕に誘うもの
機械兵器は地上のリソースを食らいつくし、分裂し、増殖する
彼女を倒すためにエイルは機械を再生出来なくする力を手に入れていた
その力を使うことで今、目の前から襲い来る機械兵器を次々と破壊しているのだが
「ん〜どんどん型式が古くなってる?……こいつらは一体いつ作られたものだ?……ふむ?……」
機械兵器はこの星の始まりと同じぐらいの年代のものだった。それが妙に違和感に感じるエイル
と言うのはここは異世界ファンタジーであり、SFファンタジーな世界観ではなかったはずだからだ
ここの世界は夢の世界。元々いた世界である幻想と妄想の狭間の世界と比べて明らかにズレた世界感
管理者というワードすら不気味な話だ
俺たちが異世界に呼び出された時、神様はいなかった。ではこの力は誰が授けたのだ?
もし異世界というのがゲームのようないわば固定された世界なのだとしたら、そこに飛ばされた俺たちは一体何なのだ?
これは終末世界に飛ばされた俺が終末世界を生き抜いている中で、ふと疑問に思った事に繋がる
……なぜこの世界にしばらくの間接続できなかったのか?……
しかしそのことを考えていると、不意にフィアの叫び声が聞こえた
「……どうし…………えぇ……?」
そこにはとてつもなく深い穴が広がっていた。
その穴のそばにフィアが落ちていたのだ。そもそも一体なぜこうなった?疑問が耐えないがそれはそれとしてフィアを助ける
「あ、ありがとうございます……あー良かったあ!死ぬかと思った!」
俺はそうだな、と呟いて改めて穴の中を覗く
「ふむ……底が見えない?おかしいな、俺の目はこの程度の穴であれば見えるはずなのに」
すると、フィアがさも当たり前のようにつぶやく
「■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■」
…………「まさか■■■■?!」
俺は数億年ぶりに目を見開く。まさか、そんなはずは……
いやいや、待て、ここがその用途ならば……ここにいたあの機械兵器は……
と、その俺たちの目の前で穴が急速に塞がってゆく。それはかさぶたのように、見るべきでは無いものを隠すように世界から消え失せる
「────ッ!……なるほど、それは確かに管理者も逃げるわな……こんなめんどくさいモノ……」
フィアは頷く。その姿は先程までのポンコツな風体ではなく、しっかりと世界の管理者側だという風体であった
「……これを知っているやつはいるか?この世界に」
「いるわけが無い、いたらさっさとこの世界から逃げている」
「……それもそうか」
俺は目を閉じてカオスに尋ねる
『むう、心外だな、こんなものをここに配置するとは……流石に想定外だよ全く』
カオスですら困惑する代物、手を焼く代物か
もし俺が手に負えなくなるとしたらこれだろうな。
その時は全てを投げ打ってでもこれの侵食を止めなければならない
「───それで予備の神核は拾ったか?」
「ん!これみてよォ!すっごい綺麗でしょ?」
その目には少しの狂気が宿っていたが、気にするべきでは無いのだろう
それよりも俺は色々と考えるべきことが増えたことに頭を悩ませる
……最悪の場合、これの対処のために九門さん辺りに頑張って貰うか?
と言うか、皮肉だなと俺は呆れる
こんなものの上にこの世界が成り立っていること、それを知っているのが元勇者という存在
されど勇者では太刀打ちができない代物だと言うのはあまりにも虚しい話だ
「……とりあえずまずは九門さんを探しに行くか、あの人ならこちら側に着いても問題は無いはずだ」
元々の目的のために、やって来た俺だが……今回ばかりはそれよりも先にこっちの処理をどうするべきか考えねば
…………本当に面倒なものを隠していたな、管理者よ
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