第65話 縁は結ばれるのだ

 彼、カイザー・コウキはひとつミスをしたのだ。倒した女の死体を確認しなかったと言うね


 そしてそこの水道は運命かそれかは知らないが、の城の地下に流れ着いてしまったのだ


 そして瀕死だったその女をたまたま、偶然、運命的に水着回で使用した水を捨てるために歩いていたエイルが見つけてしまったのだから


 ……まぁコウキの運がある意味悪かったとしか言いようがない


 ◇◇






「─────が、が……あ?……あ?!き、貴様は?!」


「おう目が覚めたようで何よりだぜ?……」


 俺は水に沈んでいた女を拾い上げて自室で治療していた

 流石に俺もびっくりした、まさか死体かと思ったら普通に生きてたから……ね


「ッ!……貴様、私の裸を見たのか?!」


 まさかの第一声がそれかい?と俺はずっこける


「ああ見たよ?それがどうかし」


「──///もうお嫁にいけないっ!へ、変態!責任取ってよね!」


 えぇ……


 どういうわけなのだろうか、こいつなんなんだろう

 俺は疑問を抱きながらため息を吐き出して天を仰ぐ


 ◇◇


『カッカッ……お前さんは女に興味が無いからな……それは困った話だ』


 茶化すなカオス。とは思いつつも俺はこいつをサーチする


「ふむ、危険そうな武器もアイテムも持っていないな……で?君は誰だ?」


「───貴様エイルだろう?……ふっふっふ〜聞いて驚け私の名前は『アブソリュート・システム・ワールド・オブ・リコレクト・オール・インフィニット・クリエイション』!!さあ、私に跪け……ったたた?!やめろ!」


「長いつーの!いいか?今のご時世な、長すぎる名前は嫌われるんだよ!……せめて5文字に絞れ」


「はぁ?!無茶を言いますね!……それに第1、私は」


「うーんアブちゃんでいいや、よろしくね〜アブ」


「その名前だと虫みたいじゃ無いですか?!」


「じゃあ自分で好きに名前決めなよ?ねぇ?」


「……フィアで……」



「フィアね。うんじゃまず確認ね、?」


 俺の言葉に思わず黙る女。俺はにっこりとした笑顔で続けて


「いや、なんとなく君のその神核の残滓に見覚えがあってさ……そう、確か……そっくりなんだよね〜」


 ダラダラとからだから汗を出すフィア。その表情はみるみるうちに曇り始めていた


 それを眺めて俺は「眼福だなぁ」とかやっていた

「……その、……はい、認めます」


「OKじゃあ死んでもらおうか?……いやぁ悪いねぇ、君たち管理者側の奴を生かしといて得はないんだわ」


 そう言うと俺は『終末鎧装/下界斬雀したきりすずめ』を取り出し、それを首元に当てる

 カミソリのように鋭い直刀がやわらかそうな首筋に触れ、少しだけ血を滲ませる


「ま、待て?!わ、私を生かしておいてそんは無いぞ?!」


「ふむ、では提示してもらおうか?ん?」


「そ、それはぁ……えっとぉ……その、夜のお相手とか……」


 ?不思議なことを言うなこの人


「……間に合ってるな、俺は寝る時にはいつも相棒と寝てるからな」


「い、何時もぉ?!……え、えっとぉ……そのぉー……コウキ様の情報を知っています!」


 あ〜それかぁ。別にいらないんだよね


「悪いねぇ、それも間に合ってるよ」


 もはやあとが無くなったのか、もう全力で俺に土下座しながら媚び始めるフィア


「もうあとがないんです!私神核を取られてしまったから、ほっとかれると死んでしまうんですよ!!いいんですか人殺しになるなんて!」


「死ぬならお墓ぐらい建ててやるぞ?ん?…………」


 冷徹な俺の言葉に思わず涙をこぼすフィア。


「…………はぁ……分かりましたよ!死ねばいいんでしょ!無様に!」


 そう言うと自分のお腹をポコポコと殴り始める。しかしどう考えてもそれで死ねるわけが無いので


「……まぁある意味無様ではあるか……」


 ため息をこぼさざるを得なかった


 ◇◇



 ちなみに俺は別に殺す気などない。というか、殺してしまうと最悪即終末コースだ


 それだけは避けなければ。たとえこいつの思想が世界を破壊するものだったとしてもだ


 今はまだそのときでは無い。それぐらい俺のもわかる


 故に



 ◇◇




「つーわけでこいつが新しい仲間な、ちなみに変な行動したらフツーに斬り殺していいぞ?」


「しないよ!……ねぇ、その目怖いんだけど……まって君の仲間全員ヤバいやつじゃん、目が怖いって!あ〜絶対私殺される、理不尽な話を押し付けられて難癖つけられて殺されるんだー!!!」


「うるさいなぁ……本当にこいつを仲間にするの辞めようかな」


「ヤメナイデー!」


 そんなわけで変な仲間が一人増えましたとさ。








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