第63話 神纏・英雄鎧式
「
九門詩織の肉体が光を帯びる
と同時に、その体に新たな英雄の記録が宿る
それは幾重にも重なり、やがて霧散してしまった
「は、ハッ!はったりを言いおって!」
それがはったりならばどれ程良かったのだろうか
目の前にいた詩織の肉体は先程とあまり変化してはいなかったが、その纏う雰囲気は間違いなく化け物のそれであった
「────成程、今回は武蔵でしたか」
そう言いながら刀を抜き、切りかかる
「な、何を……?!」
あくまでもそれはただの斬撃だっはずの1振り
しかしそれが当たった瞬間、二度の斬撃がアフォガートを襲う
「カハッ?!」
彼女のチート能力、『神纏・英雄鎧式』は異世界の英雄を体に纏う技。
英雄ごとに異なる特殊機能を要しており、それによる無双の戦闘を仕掛けるもの
例えば、『武蔵』は斬撃を複数に分割し……それによる理解不可能な斬撃を放つと言うもの
九雷満天のようにひとつの斬撃を分けるものではなく、純粋にふたつに増やすというもの
それのやばさはおそらく剣士ならばひと目でわかるだろう。
元ネタはおそらく『二天一流』なのだが、九門詩織の九門一刀流と合わせると馬鹿みたいな高火力の攻撃が単純にふたつに増えるのだ
それを受けてしまったアフォガートはそのまま肉体に致命打を受けて倒れる
だが、それはあくまでも前座である
「おや、もう倒れてしまったのですか?情けないですね」
「……は、ハッ!ふ、ふざけた技だが……この弾丸の雨は避けられまい!」
致命打を受けてもなお即座に反撃を仕掛ける当たりアフォガートも十分ヤバいやつではあるのだが
放った5発の弾丸
「……
それらを九門詩織は避けることなく、その場で全てを切り伏せて見せた
一振で
ありえないほどの剣圧。そしてそれから放たれた斬撃は
青く澄み渡る星空を連想させるほどの一撃
それはアフォガートにとって、最後の星空だったのだろうか
「…………やはりつまらないですね、この力は」
体の半分を斬り伏せられ、そのまま倒れ込むアフォガートを眺めてため息を吐き出す詩織
この力は初めて使った時からやはり楽しくない
剣の切り結ぶ感覚もなく、ただ圧倒的な質量による押し潰し
戦術のクソもへったくれもないそれを、詩織はやはり好くことはなかった
『九門詩織』
チート能力『神纏・英雄鎧式』
異世界の英雄をまとい、その力を持ってして敵を片ずける
呼び出される英雄は西洋東洋問わず、その戦い方に合わせて彼女の武装も変化する
その力は上手く使えば理一すら切り倒せるほどの力を秘めてはいるのだが
それはまるで楽しくないと彼女は言って使うことをしない
彼女のチート能力は実に惜しいのだ。
◇◇
「……アフォガート、アフォガート!まだ死んではなりません!」
誰だ、儂を呼ぶのは
もういいだろう、休ませてくれよ
こんなに戦いに疲れたのは初めてだ。もう今すぐにでも逃げて寝たい
それでも起きろというのか?
「……そうです!あなたにはまだ役目がありマス」
役目だと?
「ええ、自爆と言うね」
ふざけた……待て貴様、貴様は?!
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