第61話 神器
「……神器解放っ!」
その文言の後、周囲の空間がゆがみ始め
瞬く間にアフォガートの見た目が巨大な機械の装甲で覆われた
そしてアフォガートの手に持っていた刀もまた、同じようにより優れた形へと変化する
神器。すなわち、神のうつわ
異世界人を倒すためには、異世界人の強さの源を理解する必要があったのだ
この神器は元々コウキがいつの日か、自分に歯向かうものが現れた時の対処法として考案したものであり
異世界人及びチート能力持ちの対処方法が編み込まれている
異世界から転移してきた人間には、特殊な祝福が施されている 。そしてそれは他の人に受け渡せる可能性がある
これに気がついたコウキは、まず最初に自らにそのチートを付与しようとした
しかし、異世界人から異世界人へのチート能力の受け渡しは不可能だった。
そこで、異世界人以外ならばどうなのか?
そう思い試してみたのが『執行者』である
彼らは元々死刑囚として存在していたもの達だったのだが、それをコウキが買い取り、それらにチート能力の付与をしてみたのだ
結果としては彼らは異世界人というか、コウキを含む他のクラスメイト達と遜色ないほどまでに強くなったのだが
コウキはそいつらが逆に自分たちに歯向かってく不可能性を考えて、とあるセーフティを設けた
それこそが神器。神器があることで彼らは抑制され……能力に飲み込まれないようにしている
だが、神器解放を行うとそのリミットが破壊される。
つまりは、封じておくべきチート能力が目覚めるのだ
◇◇
「おや?一体何が……おや?」
九門詩織の体を瞬時に斬り倒し、アフォガートは剣をしまう
「…………へぇ?……存外強いのですね貴方は」
とはいえ、この程度で倒せるほどに九門詩織も弱くは無い
それでも久しぶりの大ダメージではあった
詩織は刀をゆっくりと抜き放ち、居合ではなく……冷静に構える
「───緋刃」
刀身が緋色に染まる。それと同時にものすごい魔力により刀の周囲が歪む
そのまま刀を強く握り、振りかぶる
先程と同じように放ったそれをアフォガートの刀が弾き……
「ぬグゥ?!!!!」
弾けなかった
アフォガートは舌打ちしながら、起き上がる。
だが、そこに目掛けてさらに追い打ちを解き放つ詩織
その攻撃を受ける度、アフォガートの脳内では
「───おかしい、なぜやつの攻撃を無効化できない?」
というのは、アフォガート。彼の神器の能力は『完全耐性』である
1度でも食らった攻撃に対する完全なる防御
元々ダメージを受けにくいアフォガートをさらに強くするための能力なのだが
それをまるで意に介していない。それほどまでの斬撃に彼は思わず叫ぶ
「ッ!貴様なぜ我にダメージを与えられるっ!」
対する詩織の答えは案外シンプルなものだった
「────?その程度の防御で防げると?」
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