拝啓─俺を終末世界に追放しやがったクラスメイトの皆様方へ。無事帰還の目処が経ちましたのでラスボス共を引連れて殴り込みに行かせて頂きます。───覚悟の準備をしておいてね!
第41話 虎の尾を踏んでしまった兎の末路
第41話 虎の尾を踏んでしまった兎の末路
ところ変わって
──九門 詩織
雪の世界に飛ばされた彼女は、近くの村にたどり着いていた
「改めて礼を言わせていただきます……私は詩織……えぇ、そうお呼びください」
「ふん、恐ろしいクマを退治してくれた礼だ、気にすんじゃねぇ!」
「えぇそうですねぇ……しかし素晴らしい体つきをしていますねえ……爺さんや」
老夫婦に助けられた詩織はため息をうっすらと吐き出す
「(ふむ、どう見てもこの人たちは悪人ですね……即刻斬り捨てましょうか)」
からだから漏れ出す殺意。悪意に満ちた殺意に詩織は気がついていた。
いたが故に、わざと無視した
「(まあ剣の渇きも治まっていますし……ここはあえて利用させて頂きましょうか)」
「おや、こちらのお茶は飲まないのですかな?」
そう言いながら、お茶を進めてくれるお爺さん。
「……結構です……それからそろそろあなたがたの命運も尽きますね」
そういうと、刀を鞘から抜き放つ
「九門一刀流/一ノ門『九雷満天』!!」
ベシャッという音がして、その体が崩れ落ちる。
「出てきなさい?……鳴宮いえ、煙羅……この人達はあなたの能力でしょう?」
「……クソ、鋭いヤツめ……ってか何?アタシの領地に足を踏み入れといて……その態度……はームッかつくわ……あんた」
「それは結構、では死になさい」
空を切り裂くほどの斬撃が即座に詩織の手元から放たれるが
「は!物理攻撃なんて私に効果あるわけないでしょ!?」
そう言って余裕な態度を見せる煙羅
「今度はこっちから行くよ!?……くらえ『
辺りに漂っていた雪、風、それらの中に含まれる煙が一斉に詩織に牙を剥く
空間が一気に爆ぜ、その余波を受けて吹き飛ぶ詩織
「……なるほど、『煙を操る』……想像以上に厄介ですね」
「ってかなんで攻撃してくんだよ!……この狂戦士!」
「ふむ?当たり前のことを聞きますね……皆様は」
私はゆっくりと刀を鞘にしまい、答える
「……強いやつを倒す……それ以外に何があるというのでしょうか」
そう言って再び刀を引き抜く。
刀身が赫色に染まる
「……ったくあんた本当にめんどくさいね!もー私の邪魔するなら……本当に殺しちゃうからね!?」
「……?不思議な人ですね、殺す?……ああ貴方は私を殺せませんよ……私はあなたを殺せますが」
「はぁ?!……やばいこいつ会話通じねぇ……なんだよ……?!……ちょ、助けて〜『カピラス』!!」
「呼ばれて登場カピラスですぜ……姉御?」
「いいからあいつをどうにかここから引き離して!アタシが殺されたら困るでしょうが!」
「……このデカブツは?」
デカブツと呼ばれたやつは、あまりいい気がしなかったのかムッとした顔をするが
「……こいつはハーベストオークキング!その王様、カピラスだ!……へへへこいつの手にかかればどんなやつも……イチコロ……」
話の途中で私は刀を振るう
「……おや?弱いですね脆いです。……あれ?どうかしましたか 」
わずか一刀で完全に切り倒されるその姿を見て
「……こいつは並のモンスターとは比較にならないレベルのやつだぞ?!それを一撃……ひ?!」
そのまま刀を向けられて慌てて逃げようとする煙羅
しかし
「おや?逃げるのですか……つまらないですね」
一刀にてその煙の姿を切り落とされ……実態化する
「……有り得……ない……」
倒れ込むその姿を眺めて私は
「ふむ、相変わらず人を騙すのが上手いですね……彼女は」
ため息を吐き出す。
どうやらこれは龍樹の作った偽物の様だ
「……しかしここで彼らは一体何をしていたのでしょうか……おや?」
そこで詩織は見てしまった。
「…………なるほど、私たちを殺させてからが本番ですかふむ……あの方はカイザーを名乗ってからとても虚しく悲しい人物になってしまいましたね……自分のミスの尻拭いのために、クラスメイト全員を犠牲にすると……全く前世での彼の有能な姿もまた……偽物だったのでしょうか」
それはともかく、私にこんな手紙が届いた試しがないことから彼もまた送る人を選んでいるのでしょう……
「────不愉快ですね」
正面から戦いを楽しむ。それが生き様にある詩織からしてみると
姑息で、卑怯な戦い方を好む光輝は元々苦手であったが……
前回はリイチさんを犠牲に自分の立場を確保……今回は自分が生き残るために他のクラスメイトを犠牲にする……とは
「……全く情けない人間に成り下がりましたね……」
詩織はため息を吐き出して、再び外に出る
吹雪いていた雪が少しずつ消えている。それを見逃すことなく彼女は歩いてゆく
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