拝啓─俺を終末世界に追放しやがったクラスメイトの皆様方へ。無事帰還の目処が経ちましたのでラスボス共を引連れて殴り込みに行かせて頂きます。───覚悟の準備をしておいてね!
第20話 異世界聖戦②/VS蒼原 俊典 /急
第20話 異世界聖戦②/VS蒼原 俊典 /急
お前はやはり異世界転生していたんだな……?
俺は道理で……と納得した
「お前は……いや俊典…………君は……前世の時点で一度転生してたのだな……それならばその強さ、納得が行く」
「……あーあ……クソ!バレちまったか……そうだよ!俺様は一度死んだ!そして転生して蒼原 俊典として生まれ変わった!……まあそれに気づいたのは今回の転移した後だったがね!」
「ならば今のお前は誰なんだ?……オリジナル……とでも言うべきなのか?」
俺はそう尋ねるが、その言葉に静かに首を振る
「俺様はオリジナル……それはあっているが……正確には転生した先もまた同じ人だった……ただそれだけだ……俺様は変わっていない、名前だけはな」
「つまり強くてニューゲームだったと?」
その言葉に俊典(仮)は苛立ったようにこたえる
「強くてニューゲーム?は!ふざけやがって……!何も変わらなかった!……前世で俺様は愛されなかった……次の転生では今度こそハーレムを!と祈ったのに」
「その転生でも叶わなかった……と……だから異世界でハーレムを作ることにしたのか……傍迷惑にも程があるぞ?」
「黙れ!……所詮この世界はゴミしかいない!……だったら思い思いにハーレムを作るのの何が可笑しいんだ!?……なあ、理一!お前は男の夢を否定するのか?!……最初の人生では太っていてブサイクで……誰からも愛されなかった経験をしたことはあるか!?」
「知らねぇよ」
俺は吐き捨てるように呟く。
「異世界で夢を叶えて、それで何がいけないんだ!……」
「独りよがりの夢の為に、罪なき人を犠牲にしていいわけが無いだろうが」
その言葉にトシはグッと黙る
「世界で生きていた人間にはそれ相応の人生があった……それを踏みにじって……楽しんで……お前は人の道理を外れすぎだ……それだけが唯一の間違いだ」
俺はゆっくりと杖を構え、その矛先を俊典の顔に向ける
「……お前の心に存在した願いは砕かれた……罪を裁きしあの一撃は、お前の罪を赦すための業だ」
俺が今から何をしようとしているのかを気が付き、慌ててトシは
「……お前だって人を殺しているだろうが!……俺様の部下を……俺様本体を一度、殺しているじゃないか!?……お前だって人の道理を外れて」
そう言った。だが
「正解だ、だが間違いでもあるな……俺は既に人では無いからな?……悪いが生命のシステムからは外れているんだ……ああ、ここまでに至るには実に20億年程かかるからな?……真似するんじゃないぞ?」
ゆっくりと顔に杖を押し当てる。
「じゃあな?……俊典……お前の夢はここで終わる」
「ひい?!や、やめろ……?!」
「だが、終わる前に一つだけ……プレゼントを用意してある」
「プ、プレゼント?!……」
俺はにっこりとそれを手渡す。
否、俊典の肉体に押し込む。
「え?……何を…………あぁぁぁぁあああああああああああああああああ?!!!!」
「それは君に殺された、愛するものを奪われた奴の経験だ……ぜひ、堪能してくれ……次の転生までな」
悲鳴はやがて小さくなり、俊典の肉体からは生気が失われ
ゆっくりと力尽きる。
「さて、ではカオス!来い!」
──時が止まる──
『ホイホイ〜んじゃぁサクッとなー』
肉体が金色の光に包まれて、ゆっくりと消失していく。
その様子を眺めて俺は
……「結局あいつの魂はこれで救われるのだろうか?……」
そう、ふとぼやく
『知らないけど……私的にあの魂の穢れは少しだけ浄化されたように感じるよー』
「久しぶりに喋ったが、変わらんな」
『もっと呼んでくれてもいいんだよ?〜』
「世界のリソース制限に引っかかるから無理だな」
ケチ!と言い残してカオスは去る
───時が動き出す───
異世界聖戦②/蒼原 俊典VS無道 理一
勝者、無道理一
決まり手『プレゼント』
◇
俺はゆっくりとあと片付けをしてからみんなを呼び出す
「やっと出られた!……確かにもし私たちが出ていたら操られたかもしれませんね」
ラジエルは身震いしながら、浄化を始める
「そうじゃなぁ……しかし肉塊が大量じゃ……しばらくは餌には困らんじゃろうて」
バハムートは散った肉塊を適当に鍋に放り込み始める
皆が、ゆっくりとその場を片付けを始める。
アリアや、レヴィア、ローランも参加しての一大大掃除である
なお、アザトースはそのリソースをいい感じに地表にばら撒き新たな魔物の苗床となるように飛んでいる
リソース?ああもちろん、操られていた女の死骸ね
こうして、外では吹雪が吹き荒れるなか…暖を取りみなでテキパキと掃除をしている
その時であった
コンコンコン!というノック音がして城の扉が叩かれる
「?誰だ……というか外はかなりの吹雪だぞ?……」
俺は不思議に思いながら、扉をゆっくりと警戒しながら開ける
そこには
「おう!理一!お邪魔するぜ!いやぁ外すっげぇ吹雪いててヤベぇぜ?……うっひょーいい城!すっげ〜な!」
そう言ってその女は俺が唖然としている間に中に入る。
「待て待て!お前、お前はまさか?!」
その女はにっこりと満面の笑みを浮かべ自らの名を告げる
「おう!アタシの名前は『天岸 銘』今はメリッサ=メイって名乗ってるしがない鍛冶屋だ!よろしくな!」
その屈託のない笑顔は間違いなくクラスメイトの一人、「天岸 銘」その人で間違いなかった
この出会いは、俺の運命を大きく変えるのだが
この時はまだ知らない
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