第16話 自業自得

 メルバニア城に戻った俺は今回、回収してきた奴らを洗浄し……その後下層の居住区に押し込める


 まああれだ。可哀想な女の子と男の子がいーっぱいいたのでね……助けてあげるべきだと思ったわけだ


 もちろん、「ニック」と「ワトソン」も無事保護されている


 ちなみにトシの城の地下には大量の人骨と血なまぐさい香りのする下郎どもがいたので、そいつらは俺がさっさと消し飛ばしておいた


 まあそいつらから抽出した液体をあの人形の内部に仕込んであるんだが……まあ結果はどうなる事やら


「……あ、そうだ……バアル〜今からソロモン呼び出すから」


「ぬう?!い、今ですか!?……私血なまぐさい格好なのですが……」


「いいからいいから!……えっと……『いでよソロモン!』だったっけ?」


 その言葉に反応して、異界とのゲートが繋がる。

 そしてそこには


「……おお!……その、久しぶりじゃな……ソロモン……」


 金色、銀色、銅色、赤色、白色、黒色というすっごい髪色の長身の女性が立っていた


「……おや、バアルでは無いですか……あ〜つまり私をまたしても呼び出しやがったのですねそこのバカは」


 そう言って呆れたような顔をしてからふとなにかに気がついたように自分の胸を触る


 ……「……バアル?ちょっといいかしら?」


「…………その……すまん……お主にはあの時と同じような……止めんか!?十字固めは……あがががが?!」


 綺麗な十字固めだった。思わず俺も拍手してしまうほどに


「あのさぁ!言ったよね!……次に呼び出す時は胸をもっと盛れって!……なんで私の胸はまな板なんですか?!おいコラ!」


 うーん、だから一度聞いたのに……


 俺はそう思いつつも、改めてソロモンに声をかける


「……久しいな、ソロモン……何千年ぶりか?」


「あ〜エイル様、お久しぶりです……このバカは何かやらかしたりしてませんでしたか?……ったく私がいないと何もできない癖に!」


「……喧嘩はしてもいいけどほどぼどにな〜」


 俺はその場から逃げる。


 ちなみにであるが、ソロモンは一言でいうとバアルの契約者であり、魂の一部でもある


 ソロモン王の名を冠する彼女は一言でいうと馬鹿みたいに強い魔神の使役者。


 まあ監督官的な?あれだ。立場としてはバアルの方が上だけど、まー勝てんよねあの人には


 ◇


 後、オーディン!お前の部下も一人呼び出すから少し待ってな


「マジですか!いやぁアイツにまた会えるんですか?!」


「多分あいつはめちゃくちゃ嫌な顔すると思うぞ?」


 俺は苦笑しつつ一人の女を呼び出す


「さて、おいで……あ、ちょ……帰らない……ほら、他にもいっぱいいるから……」


「……ボクは一体いつまでこのアホ神様と過ごせばいいんですか?」


「アホ?!俺の事をアホとか抜かしやがったなコノヤロウ?!」


「アホ以外に形容詞をボクは知らない……まあ呼び出されたからには手伝うよ……ボク、『ステラ・モーガン』がね」


 彼女の名は『ステラ・モーガン』。いわゆるボクっ娘である


 見た目も中性的なというかどちらかと言うとイケメン寄りであり。オーディンの部下にして魔法使いの極致に達した人だ


「って言うか呼び出されてそうそうだけど、ボクからひとついいかな?……オーディン、君は何でそのクソダサTシャツを手に持っているんだい?」


「それはもちろんお前に着せて……」


「……『魔法/魔女の一撃ギックリ腰』」


「ぐうう?!や、やるじゃない……あ〜ちょっと待ってかなり痛い……ねぇ?まってその構えは……」


「貴方にはしばらく絶妙な痛みに苦しんでもらいますよ、『魔法/乱数不運ランダマイズアンラック』」


 俺はため息を着く。こいつらはいっつもこんな感じである。

 まあ賑やかなのはいいことだが


 ちなみに今の魔法は、行動の度にいくつかの不運が発生する奴だ


「……残念!効きません〜!はい、『魔術機構/絶対防御バリアー』!」


「な!?そ、そんなぁ……」


 俺はオーディンの頭をチョップする


「弟子相手に何バカな事やってんだ、ほら行くぞ」


『ホントそれでも神様ですか?……ダサ大人気なさすぎですよ?気持ち悪い』


 やめな、アビス。それは普通にオーディン泣いちゃうから



 ◇◇





 ───さてところ変わってトシ城


「……何だ?なんか肌にポツポツが……あれか?ニキビでも出来たか?」


 俺様はそう言いながらも、昨日の女共との遊びを思い出してニマニマしていた


 とてつもない気持ちよさ。今までの女とは比べ物にならない心地良さだったが故に


「……またアイツらで遊んでやるか!」


 普段は一度遊んだら飽きて殺すなりしていたトシだったが、今回の相手はかなりよかった


 特にあの「ワトソン」だっけ?……アイツしきりに自分の彼氏の名前を叫んでたなぁ……いやぁ……ああ言った奴を屈服させるのが最高なんだよなぁ!


 俺様はにやにや笑いながらふと


「あ、ご飯食べよ〜さすがに腹が減った」


 そう言って食堂に行き、ご飯を食べる


「お待たせ致しましたトシ様……本日のご料理は『サーモンのバター炒め』『牛肉のフィレ』『バタースコッチパイ』『エッグマフィン』となっております……どうぞお召し上がりください」


 俺様は、ゆっくりといつものようにそれをペロリと……ペロリと……あれ?


「どうしました?お口に合いませんでしたか?」


「いや……そういうわけじゃないけど、どうにも食欲がわかない……なんだろうか……昨日ハッスルしすぎたかな……」


 俺様は、珍しくご飯を残し部屋に戻る


「はあーなんでか今日はもの食う気にならねぇな……めっずらしいな」

 そう言って横になる。

 しばらく横になった時俺は珍しくくしゃみをする。

 途端、寒気がしてきたので


「マジ?風邪ひいたのかよ……はぁ……そりゃ食欲とかねえわ……仕方ねぇ医者でも……いや、医者なんざより、回復系の魔法で直してもらうのが早いな……よし」


 俺様はお付きのやつに回復魔法使いを連れてくるように頼み、床に就く


「ったく早く治してまたあの女を味わいたいぜ……へへへ」




 ◇◇◇



 ひとつ、言っておこうか。


 ここで回復魔法使いを選択したことが彼の地獄の始まりだったと言うことを


 ◇◇


「お待たせ致しました、回復魔法使いを連れてきました!」


「おう、おせぇぞ!……ったく……は、ハクション!……あ〜珍しいな……俺様が風邪とか……お、回復魔法使いの姉ちゃん可愛いね……」


「えっと治しますよ!……「回復魔法/状態回復ヒール」!……どうでしょう…………」


「おー一気に体が良くなってきたぜ……なぁ、せっかくだし俺様と交わって見ないか?……いい夢見さしてやるぜ?」


「あの……私はまだ仕事が……」


「良いからさあ!……ほらほらー!」


「では失礼し…………すいません……私やっぱり仕事優先させてもらいますね!では!」


 俺を置いて、さっさと行ってしまった。


「案外真面目な奴もいるのか……まあいいや、これでまたハッスルできるぜ!」


 俺様は服を来て廊下を歩く。


 しかしまだ頭が痛いな……それになんだが胃のあたりがムカムカしてきた……


 そう言いながらも俺様はいつもの部屋に入る


「お待ちしておりましたぞ!……ではごゆるりと」


「おう!」


 俺様はいつものように女共を足蹴にしながら、行為を楽しもうとして



 ………………あれ?


 なんで?なんで?……どうしたんだよ……俺のマグナム!


 何故か俺のマグナムはまるで息をしていなかった

 いくら力を込めても、込めても全くピクリともしない


「……俺様はどうやら疲れていたらしい……ははは……また明日な」


 俺様はそう言って寝床に戻る。


 少しだけ落ち込みつつも俺様は再び床に就く。明日こそ治っていることを信じて




 ◇◇







 ──オーディンが仕込んだのは様々な病原菌と呪詛の混ざりあった複合魔術


 その病原菌の中には当然などが


 呪詛の中にはや、などを埋め込んでいる


 まあ、彼がこの後どうなるのかはある意味想像しやすいかもしれない


 しかし言ってしまえば……これはただの自業自得なのだ。


















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