第13話 甘美なる絶望
──カンザス帝国領
ノウリー・トシ城にて
「ひっ、と、トシ様……!もうお帰りになられたので……」
「目ェ腐ってんのか?……当然だろ?……それよりも早くしろよ?舐めてんの?」
目の前にいた、ボロボロの服を着た女は震えながら寝そべる
それをゆっくり踏みつけて、そいつのからだで靴の汚れを俺様は拭く
「……ぐぅう……ああ、あ……」
「おいゴラァ?マットが何喋ってんだ?」
「トシ様、それくらいにしておきなされ……それで如何程でしたかな?……ご目当てのリイチとか言う雑魚には出会えましたか?」
「ジジイ!……生憎そこに行くための道案内役の買った奴が道が分からないとか抜かしやがって……あの買ったやつどこの奴だ?」
「あれは確かメルバニアの元王族だったはずですが?」
「そいつら一族まとめて処分な!……ったく無駄骨だったぜ……」
「よろしいのですか?あの女はかなり美人だったと思うのですが……」
「まあスラムのゴミ共にでもあげれば喜ぶだろ……それでいい、俺様の貴重な労力を無駄にしやがったんだ……それぐらいで許してやるよ」
俺様はそう伝えると、女共と男どもが織り成しているカーペットの上を歩いて玉座に座る
「そういえばトシ様、カンザス王から新しい女共のストックが届きましたが……確認致しますかな?」
「俺様は歩くので疲れた……全く、めんどくさいことをしやがって……まあまた明日までそいつらには冷凍庫にでも入っていてもらおうか」
「承知しました……!」
服を脱ぎ捨て、それを近くにいた女にぶつける。
女は突然の動きに反応出来ず、そのまま倒れるが
「あ?何俺様の服落としてんの?お前死刑な」
「ひ、ひい?!も、申し訳ありませんでした?!お許しを!」
「まあそうだな……あーそう言えばお前は確か元貴族だったっけ?……」
「は、はい……そうでございます……」
「今俺は疲れてて気分が悪いんだが、そうだな……お前が裸踊りでもするなら許してやろう」
「……無理でございます!それだけは……」
「そうか〜なら死ね!」
俺はそのままそいつの頭蓋をジャンプキックで踏みつけ、粉砕する
飛び散る肉片と血飛沫を見て、それでも隣にいた女性も男性もビクともしなかった
いや、ビクともはしていたのかもしれない……ただ、トシの前でそういった態度をすれば間違いなく次のターゲットは自分になる事ぐらいわかっていたので
誰も反応しないように……必死に、生き残るために目を背けた
「お前ら掃除しとけ」
俺様はそう言うと、自室に向けて歩き始める
部屋の前に立ち、俺様はゆっくりと部屋に入る
「「「「「「「「「「お帰りなさまいませ!」」」」」」」」」」
俺様はメイド達に迎えられる。
そいつらは元王族だったり貴族だったり、まあ村娘もいるか?……ともかく、その数実に数百人
俺様は服を脱ぎ、ゆっくりとそいつらに腰掛ける。
俺様の体重を受けて少し悲鳴を漏らすが、その女たちはそれこそが至福なのだと言わんばかりの顔をする
俺様はタバコをゆっくりと手に取り、それに火をつけ
「……っーぷはー!これはまあまあな味だな……まあ100点中80点だと伝えとけ」
「かしこまりました!」
「しっかし理一に会う予定だったのに……どうにも予定が狂うなぁ……ちっ!あいつめ俺様の手を煩わせるとか出会ったらまじでミンチにしてやろうか」
そう言いながら俺は火を近くの女のからだで消す。
「っ?!……ぐ……」
「あ〜イライラするわ〜まじでほんとに外さみぃし……はーやっぱここが至福だ!」
俺様はそう言いながら酒を手に取り、改めてこの異世界の素晴らしさを噛み締める
「まじで異世界サイコー!……俺様のヤリたい事なんでも出来ちまう……あ〜まじサイコーだわー!」
彼の名は『ノウリー・トシ』その能力は『
女性の肉体と精神を支配し、そいつらの能力を全て使用出来るという正しく対、女性最強のスキルである
俺様は相棒の武器、釘バット型のそれ『
女は何も言わず、頭から血を流して倒れる。
なんのことは無い、ただ顔が少しイラッときただけだ。
そしてそれに動揺するやつもここにはいない。何故ならば、それこそがここでの日常なのだから
◇◇
「なるほど……事情はわかった……はぁ……トシについてもな」
俺はアザトースから受け取った恐怖の怨嗟のデータを見終えて呆れながらつぶやく
「……これは許せません!……どうしてこんな……こんな……」
「アリア様!……お気を確かに……!すいません、エイル様、少し風に当ててきます!」
「防寒道具を持っていきな!」
俺は呆れる他なかった
いや、確かにあいつは前の世界ですらはっきりいって救いようがないゴミだったはずだ
それがまさに最悪の形で異世界転移により花開いてしまった……ということか
まあとなるとこいつの拠点ではどんなことが起きているのか、すぐにわかる
「……
「……魔族ですらこんなひどい仕打ちはしないわよ?……それより、あたしもなんかイライラしてきたから殴りに行っていい?」
俺はそれを止める
「やめてけ、おそらく女を操る能力に抗うのはまあ難しいことだろう……」
特に、特定の属性に特化した能力は厄介そのものだ
「……じゃあなんで今すぐあなたは殴りに行かないの!」
レヴィアは珍しく怒っているようだった。
「そうです!あなたの力をもってすればすぐにあいつを殺せるでしょう!」
戻ってきたアリアも同じように俺に言うが
「まあ待て……もし、仮にだがそれをした場合、その女たち……つまりは操られていた女たちはどうなるか分かるか?」
「それは……能力が解除されてみんな元に戻って……じゃないの?」
「……残念ながら違う」
「じゃあ…………まさか戻って来れない……?」
「半分ぐらい正解だ」
俺はため息をついて、似たような能力の相手のことをふと思い出していた
「俺はかつて、愛の魔王ラブフォーチュンというやつと戦ったことがあるのだが……そいつに操られた女はそいつを倒した瞬間……」
「瞬間……?」
「精神が完全に破壊されてみんな廃人になった」
「……廃人……」
「この手のスキルは厄介でね……相手と自分の魂を強制的にリンクさせてるから下手すると罪なき人間が何百、何千、何万と犠牲になってしまうかもしれない……」
それに、だ。
誰と誰が繋がってるのか分からない。それもまた問題だ
もし、俺が今トシを殺した場合、他の国にいるトシの隷属されたやつが壊れて収拾ががつかなくなれば間違いなくこの世界が終末世界になるのを避けられない
「……オーディン、バアル……今回は俺たちで何とかすることにする……いいな?」
「おや?珍しいですな……」
「おう!任せろ!」
『まあ仕方ありませんよね……女性を隷属させるのならば最悪私たちを操ってくる可能性もありますからね』
アビスの言葉に俺は頷く
「そうなれば再び終末世界まっしぐらだ……それは避けなければ」
そのためにまずは俺たちは作戦を練ることにした
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