第2話 静電気なんて、こわくない

静電気は怖い。冬になると、いつもドアが恐怖の対象にある。開け閉めするたびに、バチッと痛みが走るからだ。


個人事業主になってドアを開け放つ生活に変えてから快適になったけど、職場に勤めていた頃は地獄だった。

冬になると、ドアに触るたびにバチッ、バチッ。会議室に入ろうとしたら静電気で出鼻をくじかれる。ただでさえ会議に参加したくないのに、やる前からテンションがマイナスに振り切っていた。まるで、この世の不幸を全て背負っているかのような絶望感だった。


そんな状態だったから、わらにもすがる思いで静電気に対処できるグッズを買いあさったんだけど、全く効果がなかった。俺の静電気は、小さなアイテムごときで止められるものではなかったのである。


毎年、静電気で苦しんでいる人は、何かしら共感してくれるだろうと思う。自分は何もしていないのに、勝手に電気だけが蓄積していって、最後には放電して痛みだけ残してくのだから。まるで、通りすがりに臭い屁をかまされたかのようだ。迷惑すぎる。


冬にると、俺のように静電気をため込みやすい人は、ドアを含めたいろんなものを触るのが怖くなる。毎日の通勤で使っている車ですら、ドアを開けるのに神経を使う。勘弁してくれ。


だが!


だが、だ。


今は、そんな静電気から解放されている。ドアを開け放したからちゃうんかいと思うかもしれないが、そうじゃないんだ。ちゃんと裏技がある。


方法は簡単だ。ドアなどに触れる前に、手のひらをドアや壁に押しつけるだけ。この時、少しでも指先が手のひらより前に出てはいけない。手のひらファーストで押しつけよう。たったこれだけで、静電気でバチッとならなくなる。


理由を解説しよう。そもそもな話として、静電気で痛みを感じるのは、電気の性質による。おそろくざっくり解説すると、細い部分からの方が電気は伝わりやすい。その原理を利用しているわけだ。手のひらと指、どちらが細い部分かは、言わずともわかるだろう。


やったことがない人は、1度試してみて欲しい。びっくりすくらいバチッが無くなる。体感、9割くらい減る。めっちゃ快適。

他人からは変な行動をしているように見えるけど、「静電気対策です」と言えばみんな納得する。誰しも1度くらいは静電気の洗礼を受けているからだ。


今回の冬も、まだ静電気を感じていない。バチッを体験していない冬を体験したい人は、ぜひ1度試してみて欲しい。オススメの方法だ。

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