ジュニア・全国リトル大会予選
1.思ったよりも野球チートってすごいかも
「いやーついに日本記録がでましたねー。ホームラン数61本。その近藤選手はポスティングシステムを利用して、来季メジャーに挑戦するようですよ!」
「えぇ! 本当に楽しみですね! メジャーでどんな成績を残すのか、期待しますね!」
テレビではプロ野球選手の
(この世界は俺のいた世界と本当に似て非なるな。前の世界ではここまで野球がワールドスポーツになっていなかったからな)
今回転生した日本、いや世界はベースボールがワールドスポーツとなっていた。競技人口が世界10億人とも言われているとニュースで見た。俺はそのニュースを見ながら幼稚園に行くために朝ごはんを食べていた。
「
「はーい・・・」
俺の目の前に座る母、
(それにしてもよく父さんは母さんと結婚できたよなぁ)
俺の母は美人。ちらっと聞いたが、年齢は今年で35歳だという。その割には大学生のように美人だった。それに対して父親は冴えない。普通の一般モブの見た目だった。一体どういうラブコメを経て結婚したのか、いささか気になってしまった。そんなことを考えなから俺は朝食を食べた。
「ごちそうさまでした!」
「うん! ちゃんと言えて偉いね! じゃあお着替えしようか!」
俺は母に手伝われながら保育園に行くために準備をした。俺の通っている保育園はちょうど俺の暮らしているマンション前に通園用のバスが来る。俺はそれに間に合うように準備をした。
「司。今日ママ、少しお迎え遅れちゃうけど、一人で保育園待てる?」
「うん! 大丈夫だよ! ママ!」
見た目は5歳だが、精神年齢は大人な俺がママと呼ぶのはかなり恥ずかしかった。しかし、変な子供だと思われないように恥を忍んでママと呼んでいた。ちなみに家は共働きで、母さんは女子野球のコーチをしているらしい。昔野球をやっていたのだろうか。
「司はいい子だね! じゃあ行こうね!」
俺は手を繋がれ、マンションの入口に向かった。入り口にはすでに俺と同じ保育園に向かう二人の子供がいた。
「おはようございます! 川谷さん!」
「おはようございます! 野神さん! 司くんもおはよう!」
「おはようございます!」
俺の母は二人の子供の親に挨拶をした。川谷さんは俺達と同じマンションに住んでいる人で、たまに母が忙しい時に俺を預かってくれる心優しい人であった。
「司くん! おはよう!」
「おはよう! 司!」
「おはよう!
川谷高史君と川谷莉子ちゃんは俺と同い年で、いわゆる幼馴染であった。そして高史君と莉子ちゃんは二卵性の双子であり、高史君がお兄さんらしい。その二人の両親は美男美女のため、二人の将来は明るいと俺は思っている。そんなこんなで俺は意外と充実した第二の人生をエンジョイしていた。
■■
「え! キャッチボール?」
「そう! 司、一緒にしない?」
俺は莉子ちゃんと高史君と一緒に川谷ママに連れられて帰ってきた。当初は保育園にいる予定だったが、母さんが川谷さんに事情を話したのだろう。俺の迎えも一緒にしてくれた。俺は川谷さんの車に乗り、川谷家で母の帰りを待つことになった。そうしているとキャッチャーミットを持った高史君からキャッチボールを誘われた。
「うん、いいよ! しよ!」
「私もやるー!」
俺達はゴムボールを持って、マンションの近くにある公園へと向かった。そして俺達はゴムボールを使い、キャッチボールを始めた。
「司! お前意外とキャッチボール上手いよな!」
「そうかな? 高史君と同じくらいだと思うけど・・・」
「いや! お前は必ず俺の取りやすいところにボールをくれる!」
これは転生前にもらった野球チートの恩恵だろうか。野球に関係のある、投げる、走るに関して、俺は他の5歳時に比べてかなり上手い方に入る。狙ったところに必ずボールを投げられるし、足も他の子供より早い。打つ方に関してはやったこと無いが、多分できるだろう。
「なぁ、司。小学校に上がったら俺とジュニア・リトルリーグ入らない? お前ならいい線行くと思うけど!」
高史君は野球が大好きである。3歳の時に、近藤選手のホームランを見て野球に興味を持ち、始めたそうだ。この世界では小学生から野球をするのは珍しくない。むしろプロを目指すならこの時期から初めて、少年野球のジュニア・リトルチームに入る方がいいのだろう。ニュースでもプロに入った選手がそう言っていた。
「うーん、どうしようかな・・・」
「司! 私も入るから一緒に入ろうよ!」
この世界では女子プロ野球選手もメジャーな職業だった。そのため、女子でもかなりの人数が野球をプレイしていた。
(野球チートは持っているけど、前世で全然野球やっていなかったからな・・・どうしようかな・・・)
俺はこの世界では堅実に生きるつもりだった。せっかく前の世界の知識を応用できるので、公務員を目指して勉強を頑張るつもりだった。
「なぁ司。お前はボール投げるのが上手いから、ピッチャーやれよ。俺はキャッチャーやるから!」
高史君はキャッチャー志望らしい。まぁ憧れの近藤選手のポジションがキャッチャーなので、しかたないと俺は思った。最初に買ったのもグローブ出はなく、キャッチャーミットだったし。
「私もピッチャーやりたい!」
そう言うと莉子ちゃんは見様見真似の投球フォームでボールを投げた。もちろんボールは全然高史君に届かなかった。莉子ちゃんは悔しそうな顔をしていた。
「次司投げてみろよ! ちょっと待っていろ!」
そう言うと高史君は下がっていった。そして立ち止まり、しゃがんでキャッチャーの構えをした。
「大体ここまで距離だと思うから、マウンドからの遠さ! 投げてみろよ!」
「わかったよ!」
俺は仕方ないので投げることにした。俺は見様見真似、前世でみたピッチャーの投球フォームの一つ、オーバースローをしてボールを投げた。高史君までの距離はざっと10m以上あったが、俺のボールは勢いそのままにミットに届いた。
「・・・すげぇ」
「司君すごい! 届いた!」
「・・・本当に届いたよ、俺」
まさか本当に届くとは思わなかった。これが野球チートだと身をもって体感した。ボールを受け取った高史君はそのまま俺の元へと走ってきていた。
「やっぱりお前すごいよ! 小学校入ったら絶対野球しようぜ! 俺達で天下取ろうぜ!」
「うーん、ママに相談してみるよ・・・」
俺達はそのままキャッチボールを続けた。夕方になり、高史君達のお母さんが公園へと迎えに来て、俺も高史君達の部屋へとお邪魔した。そして17時になるくらいの時にインターホンが鳴り、俺の母さんが迎えに来てくれた。
「司! 絶対だからな!」
「うん・・・」
あの後も高史君から野球をやろうと誘われた。なぜか莉子ちゃんも俺に野球をやってほしそうだった。俺は後で母さんに相談しようと思った。
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