第4話 リハーサル(承2)
シ「ボクのうちの冷蔵庫の製氷室で作ったらええがな」
マ「君、アホか。家庭用の冷蔵庫の製氷室で大きな氷は作られへんやろ」
シ「それやったら、フリーザーを買うちゅうのんはどうや? 大型のフリーザーやったら、大きな氷が作れんで」
マ「君なあ、よう考えてみ。シタイ君がフリーザー
シ「ほんなら、ツララを使う。ツララやったら、自然にできるがな」
マ「ツララ? ツララは冬だけやで。それに、都会でできるツララは細いで。あんなん、すぐ折れるで」
シ「それやったら、北海道のツララを使うのはどうや?」
マ「北海道? 北海道やったらツララはあるけど、持って帰られへんがな」
マ「A子を北海道旅行に誘うんや。そして、ツララのあるとこに連れていって、尖ったツララをA子の胸にぐさり(マナブに突き刺すふり)」
マ「(胸に手を当てて)うわ~。やられた~」
シ「マナブ君。ようやるわ」
マ「君がやらせとんのやないかい。せやけど、君がA子と二人で北海道旅行に行って、A子が殺されたら、誰が見ても君が犯人やで」
シ「そやな。二人で北海道に行くのんはあかんか。ほな、職場旅行で北海道に行くちゅうのはどうや?」
マ「職場旅行? せやけど、A子を殺すときは君とA子の二人になるんやろ。A子が殺されたときに、誰が一緒におったか調べたら、すぐ君の犯行と分かるがな」
シ「あかんか。ほんなら、北海道のツララをこちらへ送って、A子を殺すんはどないや?」
マ「ツララを北海道からどないして送んねん?」
シ「宅配便で送る」
マ「ツララを宅配便で送るんかい?」
シ「そや。いま、冷凍もんを宅配便で送れるやろ。あれを使うんや」
マ「そやけど、ツララだけ送ったら目立つやろ」
シ「大丈夫や。ほかの冷凍もんの宅配便に保冷剤としてツララを入れるんや。みんな、その冷凍もんの宅配便やと思うわなあ。それが、ツララを運ぶための宅配便やとは誰も思えへんわ」
マ「たとえば、どんな冷凍もんや?」
シ「たとえば、釣った魚や。いまは、釣りをしたら、釣った魚をみんな自宅へ宅配便で送るわけや。その宅配便を覗いてみ。魚のまわりに保冷材の氷がぎょうさん入れてあるがな」
マ「それ、僕もテレビで見たことあるわ。細かく砕いた氷の中に魚を入れてるんやろ」
シ「それやがな。その細かく砕いた氷の中に、大きなツララを入れとくんや。そうしたら、誰でも、保冷剤としてツララが入ってると思うわけや。それで、大きなツララを溶かさずに、どこにでも送れるちゅうわけや」
マ「(手を打って)なるほど。それやったら、ツララを送れるなあ。よっしゃ、これで、凶器は手に入ったとしよ。次に、場所や。どこで、A子を殺すねん?」
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