第62話 蛇骨会 ⑤

【埼玉舞side】


 最近、学園の雰囲気が変わりつつあることに気がついた。

 男子も女子も、何かに脅えるようにビクビクしている気がする。

 よく観察してみると、男子も女子も同じブローチをしていた。

 黄色い薔薇のブローチ、女子ならともかく男子までブローチを着けているなんて不自然だ。

 それに、おそらくあのブローチは手作りに違いない !

 前に皆と手作りキットで作ったのを覚えている。

 型にレジンを流してUVライトで硬化させて台座にくっ付ける作業をしたから似たようなキットを使ったのだろう。

 愛ちゃんと一緒に入った風紀委員会・機動新撰組の初仕事にはピッタリだわ。

 機動新撰組の隊服、水色で袖に白い山形の模様、いわゆるだんだら模様を羽織った。

 そして風紀委員会の腕章を着けたら出来上がり。


 さっそく、気の弱そうな男子に聞き込みをした。

 女子の方が口が固いからね。

 最初は拒否していたけど、


「 屯所まで来て頂きましょうか ? 」


 と、警告をした途端にペラペラと話し始めた。


 ◇◇


「やっぱり、黄薔薇派の仕業ですね。もう少し詳しく教えてもらえますか?」


 男子は一瞬戸惑ったが、次第に話し始めた。


「黄薔薇派は、この学園の裏で暗躍している秘密組織です。最近勢力を拡大していて、あの黄色い薔薇のブローチは所属を示すものなんです」


「そう……なるほど、わかりました。ありがとう。でも、これ以上隠すことは得策じゃないわよ」


 男子はため息をつき、詳細を教えてくれた。

 どうやら、黄薔薇派は学園内の幾つかの戦力を手中に収めようとしている。その手始めとして、D地区の不良たちも相手にされているという。


「そのリーダーってどこにいるの?」私が尋ねると、男子は頭を振った。


「それが、正確にはわかりません。女子生徒らしいことはわかっているんですが、彼女はとても警戒心が強く、その姿を見た一般生徒は居ないらしいです」


 私は考え込んだ。この新しい情報をもとに、さらに行動を進める必要があった。風紀委員会・機動新撰組として、学園の秩序を守るためには行動が重要だ。


「分かったわ。ありがとう。もう大丈夫だから、気をつけてね」


 女子の方にも話を聞こうと決意した私は、そのま校内をめぐって、目立たない場所でグループを作っている女子たちに接触を試みた。


「すみません、ちょっと話があるんだけど……」


 いつもの冷静な口調で話しかけると、女子たちは一瞬驚いたようだったが、それでも柔らかい対応に応じてくれた。


「何ですか、埼玉さん?」


「最近、学園で異変が起きているのを感じない? 特にこの黄色い薔薇のブローチについて知っていることを教えてほしいの。」


 女子たちは一瞬顔を見合わせたが、一人が口を開いた。


「黄薔薇派のことですよね……。私たちも最近よく耳にするんです。安心して安全に学園生活を送りたいから、機動新撰組が助けてくれるなら協力するわ 」


 私は頷いた。仲間たちの協力を得るためには、もう少し情報が必要だ。


「ありがとう。これからも情報を集めるので、協力をお願いしたいの。そのためには、何か特別な事があったら私たちにすぐ知らせてほしいわ。」


 その後、私は機動新撰組のメンバーと合流し、これまで得た情報をシェアした。

 私たちは一致団結し、学園内の秩序を取り戻すための作戦を練り始めた。


 次の日の朝、機動新撰組の早朝ミーティングでは、具体的な行動計画と目標が設定され、全員が意思を固めた。


「まずは、黄薔薇派の活動を監視し、そのリーダーたちの動向を掴みましょう。」


 三番隊隊長・斎藤一美の言葉にメンバー全員が同意し、機動新撰組の行動が本格化した。


 機動新撰組の強化と共に、学園の未来を託された私達は行動を起こし始めた。黄薔薇派の暗躍に対抗し、学園の平和を守るための熾烈な戦いが、この日を境に始まることとなった。


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