第61話 蛇骨会 ④
【
ボクちゃんは急いで学園を離れ、泥水先輩に連絡を取れる安全な場所に向かった。途中で周囲を警戒しながら、粕谷剛を利用する計画を練っていた。
学園の秘密基地、黄薔薇派の隠れ家に戻ると泥水先輩が待っていた。
「鷺田くん、どうした?佐渡屋薫はどうなった?」
息を整えたボクちゃんは、状況を簡潔に報告した。
「先輩、佐渡屋薫との接触は失敗しました。俺とブタゴリラは退却を余儀なくされました。」
泥水先輩が眉をひそめる。
「残念ですね。しかし、次の手を考えないといけません。どうするつもりですか?」
「
ボクちゃんは取って置きの計画を打ち明けた。
「シャイアンは単純だから、うまく騙せば佐渡屋薫に向けて使えると思います」
泥水先輩はしばらく沈黙すると、満足げに笑った。
「よし、それで行ってください。そして必ず成功させてくださいね 」
ボクちゃんはすぐに、何時もの空き地、小学生時代に遊んだ土管のある空き地に向かいシャイアンのことを探し始めた。
シャイアンは小学生時代は恐れられていた存在で、力と野望に満ちていた。
案の定、シャイアンは土管の上に座り、何やら考え込んでいた。
「シャイアン、話があるんだけど……」
ボクちゃんは慎重に言葉を選びながら、シャイアンに近づいた。
シャイアンが冷たく見下ろしながら応えた。
「何の用だ、
「ボクちゃん達が共闘すれば、蛇骨会の佐渡屋薫を倒せるんだ彼女を倒せば、シャイアンの威光も一気に拡大するはずだよ !」
シャイアンは一瞬考え込むように見えたが、すぐに興味無さそうに、
「興味無い、
まだ、そんなことをしているのか ? 」
ボクちゃんは
シャイアンはしばらくの間、じっくりと聞き入ってから、
「ふざけるな、俺は二度と人に暴力を使わないと誓ったんだ !
脛夫、お前も何時までも人に酷いことをするのを止めろ ! 」
……ちっ、使えない奴 !
急に丸く成ってしまったシャイアンは使いものに成らなかった。
ボクちゃんは、シャイアンの返事に驚きと憤りを感じつ、小さなため息をついた。
シャイアンが使えないのなら、次の手を一刻も早く考えなければならない。
学園の勢力争いで、このような失敗は許されない。
「ふん、仕方ないな。シャイアンが使えないなら、他の方法を探すしかない」
ボクちゃんは自分にそう言い聞かせ、黄薔薇派の隠れ家に戻ることにした。
道中での失策を泥水先輩に報告するのは屈辱的だが、このま何もせずにいるわけにはいかなかった。
隠れ家に戻ると、泥水先輩が待っていた。
彼の顔つきからはボクちゃんの失望が分かるような気がした。
だが、彼の表情にはどこか期待のようなものも感じられた。
「鷺田くん、シャイアンの件はどうなりました?」
ボクちゃんは意を決して、正直に報告した。
「先輩、シャイアンはもう暴力を使わないと誓っていて、協力を拒否しました。次の手を模索する必要があります」
泥水先輩はしばらく黙った後、深く息を吸ってから話し始めた。
「そうか、それは困りましたね。
しかし、君の機転には期待していますよ。
何か他の手段を考え出してくれることを信じていますよ、鷺田くん」
ボクちゃんの脳裏に、別の計画が浮かんだ。
少なくとも当面は、学園内でさらなる力を一層募る必要があった。
それには、D地区の不良たちを再調整し、新たな戦略を立てることが重要だった。
「分かりました、先輩。もう一度、D地区の連中と話をつけてきます」
そう言うと、ボクちゃんは体勢を整え、外に出た。
まずはD地区にいる不良たちの心を掴み直し、彼らの協力を得なければならない。
それが成功すれば、次の段階に進めるはずだった。
D地区に向かう途中、ボクちゃんは次々と浮かぶ計画を頭の中で整理した。
今回は単純な力任せではなく、もっと巧妙な方法で不良たちを引き込む必要があった。
D地区に到着すると、不良たちはさっそく集まってくる。
その中からリーダー格の男、
「久地岳、またお前たちの力を借りたいんだ。
今度はもっと大きな計画がある」
久地岳は怪訝な顔をしながら言った。
「今度は何をしようってんだ、鷺田?」
ボクちゃんは冷静に答えた。
「黄薔薇派と黒薔薇派が手を組んで、学園全体を支配する計画なんだ。お前たちもその一部になれば、大きな力を得られる。」
久地岳は考え込んだ後、仲間たちと目を合わせた。
「具体的に何をすればいいんだ?」
ボクちゃんは細かい指示を出し始めた。
それには、学園内の重要な拠点を効果的に抑えるための戦略や、反抗勢力への対処法などが含まれていた。
不良たちはボクちゃんの計画に次第に納得し、再び協力する意志を見せた。
こうして、不良たちとの連携を強化し、再び学園の支配に向けた一歩を踏み出したボクちゃん。
今度こそ、佐渡屋薫やその他の障害を排除し、新たな学園支配を築き上げに向かう覚悟を固めた。
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