第58話 蛇骨会 ①
【
クソッ、クソッ !
伸美太や茨城のことでも腹が立つのに、最近は栃木兄弟までがチヤホヤされ始めた。
お陰で、ボクちゃんがクラスで孤立しているみたいに成っているじゃないか !
フフン、いいんだ、ボクちゃんは蛇骨会で成り上がってお前等を見返してやるんだからな !
青薔薇こと
どいつもこいつもボクちゃんの優秀さが解らないなら、
蛇骨会の別の派閥に入れば済む話なんだから……
「やあ、鷺田くん、私達にコンタクトを取ったということは、蛇骨会に正式に入会するということかな ? 」
学園の旧校舎にある使われていない教室の黒板に、あるキーワードと学生番号を書いて置いたら連絡が来た。
待ち合わせの旧校舎空き教室に来たのは、親が市会議員の泥水進次郎だった。
学園でも有名なボンボンで美人の彼女までいるリア充だ。
スゴいな蛇骨会……こんな大物まで所属しているなんて。
「はい、お願いします、泥水先輩 !」
このボクちゃんが頭を下げてやったのだから、歓迎してくれるはず !
「……わかった、歓迎しよう
ようこそ、蛇骨会黄薔薇派へ
とりあえず、私の上司である蟋蟀太郎先輩を紹介しよう 」
泥水先輩に案内されて旧校舎の最上階、昔の生徒会部屋に案内される。
ここが不良の
「入れ !」
中から声がかかり、ボクちゃんは旧生徒会部屋に入った。
薄暗い部屋の中央には、巨大な机が鎮座し、その奥には派手な髪型の巨漢が座っていた。この男が蟋蟀太郎、蛇骨会黄薔薇派の幹部である。
「お前が鷺田か? 泥水から話を聞いた。まあ、いいだろう。当面は雑用でもやってろ」
蟋蟀太郎は鼻を鳴らして言った。予想していたほどの歓迎ではなかった。
「雑用ですか?」
「ああ。掃除とか、使いっ走りとかだ。それが嫌なら、今すぐに出て行ってもいいぞ」
「いえ、構いません。雑用でもやらせていただきます」
ボクちゃんはすぐに返事した。蛇骨会で出世するためには、どんな汚れ仕事もいとわない覚悟が必要だ。
「じゃ、決まりだな。これで、お前も蛇骨会の一員だ。ただし、俺の命令に背いたり、我々に逆らえば、容赦はしない。わかったか?」
「はい、わかりました」
「じゃあ、雑用にとりかかれ」
蟋蟀太郎は手を振るった。ボクちゃんは、渋々部屋を出た。雑用とはいえ、蛇骨会のメンバーになれたことは大きな一歩だ。ここから、ボクちゃんは這い上がっていくんだ。
旧校舎を出ると、ボクちゃんの前に泥水先輩が立っていた。
「お疲れ様でした、鷺田くん。これで、あなたも蛇骨会の一員ですね」
「はい、ありがとうございます。先輩」
「でも、蟋蟀太郎先輩は厳しい方ですから、気を付けてくださいね」
「はい、気を付けます」
ボクちゃんは泥水先輩に礼を言い、学園の正門へと向かった。これからが本当の勝負だ。ボクちゃんは、蛇骨会で名を上げ、裏切った奴らを見返してやるんだ。
◇◇◇
ボクちゃんは、蛇骨会で雑用をこなす日々を送った。
掃除、使い走り、雑務……どれもつまらない仕事だったが、ボクちゃんは決して腐らなかった。むしろ、これを蛇骨会への忠誠を示すための試練だと考えていた。
数週間後、蛇骨会黄薔薇派の中で抗争が勃発した。相手は、同じく黄薔薇派の糞眼鏡冨美雄。ボクちゃんは、雑用係として、抗争のサポートに駆り出された。
ボクちゃんは、負傷者の搬送や武器の調達など、地味だが重要な任務をこなした。抗争は激化し、数時間にも及んだが、最終的に蟋蟀太郎派が勝利を収めた。
抗争後、ボクちゃんは蟋蟀太郎から呼び出された。
「鷺田、今回の抗争での働きを評価する。これからは、雑用係ではなく、正式に黄薔薇派の一員として認めよう」
「ありがとうございます、先輩!」
ボクちゃんは、満面の笑みを浮かべた。雑用係から正式メンバーへの昇格は、ボクちゃんの努力が実った証拠だった。
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