第56話 反省はサルでも出来る ?
【冬香side】
今、私達、幼馴染みの前で兄さんが正座をしてうつむいている。
「弟くん、何か申し開きはあるのかしら ?」
何時もは、私達幼馴染みのリーダーシップを取っている愛ちゃんもお姉ちゃんの勢いに押されて後ろで沈黙していた。
「いいえ、ございません。 私が悪うございました 」
流石、兄さんです。 怒っているお姉ちゃんの前で、言い訳をしたら逆効果だと知ってるから余計なことを言わずに素直に認めて謝罪しました。
兄さんとのデート。 私達幼馴染みだけならお姉ちゃんも、ここまで怒らなかったでしょう。
問題に成っているのは私達だけで無く、他の女の子とデートしたからで……
ちょうど、さくらちゃんが例の喫茶店でハイパーデラックス・チョコレートパフェを食べている時に兄さんと
あの三人、スタイル……特に巨乳ですからね。
御多分に漏れず、兄さんも◌っぱい星人だったことが、お姉ちゃんには許せなかったようです。
何しろ、お姉ちゃんの胸は、さくらちゃんに匹敵するくらいに無……
ギロッ
ヤバッ、お姉ちゃんが私を
姉妹だけあり私の考えているのが解るのでしょうか ?
「エッチはダメなんだからね、弟くん ! 」
お姉ちゃんのお説教が始まりました。
余計なことを言うと長引くことを知ってる私達は沈黙して見つめています。
悪いのは兄さんなんだから、誰も
私達幼馴染みの誰かなら問題には成らなかったのに……
兄さんは依然として正座したま、春香姉ちゃんの厳しい視線を前にしっかりと頭を下げています。黙って耐えている姿は、逆に少しだけ尊敬を引きますが、状況的にはそれどころじゃないと分かっています。
「あの、みんな...」と、思い切って私は口を開きました。
「兄さんもあの三人に誘われて断れなかっただけかもしれないし、もう許してあげませんか?」
お姉ちゃんがまたしてもギロッと私を睨みます。
他の幼馴染みたちも、その場の空気に固唾を吞んでいます。
「冬香、それは甘いわよ。」
お姉ちゃんが静かに言いました。
「ここで甘やかしたら、また同じことが繰り返されるだけ。ちゃんと反省させないと」
そう言われると、確かにその通りです。ただ、その怒りは「本当にお兄ちゃんが悪い」のか、それとも「私たち幼馴染みを差し置いて他の女の子とデートした」ということで怒りが増幅しているのか、判然としません。
「あの三人娘...」私はつい考えてしまいます。
彼女たちは確かに魅力的ですし、それは誰の目にも明らかです。特にその巨乳は目立つし、兄さんが惑わされるのも無理はありません。
「お姉ちゃん、私たちも何か...努力しないといけないんじゃないかな。」
と私は思わず口を滑らせました。口を三角にして怒っていた春香お姉ちゃんが一瞬表情を和らげます。
「努力、ね...」
その言葉が何かを悟らせたようで、春香お姉ちゃんは少し落ち着きを取り戻しました。
愛ちゃん、お姉ちゃん、さくらちゃん、みんなにとって兄さんは大切な存在。だからこそ、怒りの根底には心配や不安もあるのでしょう。
「じゃあ、弟くん」
お姉ちゃんが深く息をついて言いました。
「次は、ちゃんと私たちと相談してからにして。約束できる?」
「はい、お姉様方。次からは必ずご相談申し上げます。」
兄さんはなおも頭をさげたま、深々と答えました。
「それなら、いいわ。」春香お姉ちゃんが少し微笑むと、その場の緊張もほぐれました。
「もう、今日のところはこれで終わりにしましょう。」
兄さんが頭をあげると、私たちもほっと息をつきました。
何とか最悪の事態は避けられたのかもしれません。
ただ、それぞれに残る感情はこのまではないかもしれません。
これからどうやって、兄さんの心を引き寄せるか。
私たち幼馴染みは、また別の意味で競い合うことになるのでしょう。
でも、今日のことを学んだ私たちは、きっともう少しだけ大人になれたはずです。
兄さんを巡る新たな日常は、これからも続いていくのですから。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます