第42話 壁に耳あり障子にメアリー



【舞side】


 えっ、えっ!? どういうこと ???

 恭介と冬香が潮来先生に呼び出されたから、こっそり追いて来たら、……潮来先生が邪神 ?

 冬香や恭介の声は聞こえ無い、潮来先生の声だけが聞きとれた。


「ねえ、舞……何か聞こえた ? 」


 私と一緒に追いてきた愛ちゃんが質問してくるけど……


「な~んちゃって。 どうじゃ、妾の創作小説は ?

 次のWeb小説のコンテストにエントリーするつもりなのじゃ !

 まだ、プロット段階なのじゃが、忌憚きたんの無い意見が聞きたくて、お主らを呼んだのじゃ ! 」


 なぁ~んだ、恭介や栞と同じ趣味を持っていただけか、安心したわ。

 いくらなんでも荒唐無稽こうとうむけいすぎるものね。


「で、メアリーは何をしているの ? 」



 釜ヶ崎かまがさきメアリーが障子風曇りガラスに穴を空けようと指を突付いていた。


「Oh no! What should I do ?《え!どうしたらいいかしら? 》」


「……悪いけど、 日本語で話してくれるかしら !?

 私達、英語が話せ無いからね 」


「Sorry、ごめんなさい。

 マイ、大変で~す ! このショウジ障子、穴が空きませ~ん ! 」


 日系二世のメアリーは日本にあこがれて留学して来たのだけど、日本の事を誤解しているみたい。

 メアリーがガラス障子を突付いているせいで、潮来先生に覗きがバレる前にズラカルことにした。


 ◇◇◇


【冬香side】


「フゥ、行ったようじゃな……

 迂闊だったのう、冬香、恭介 」


 しっ、仕方ないじゃない ! みんなが幼馴染みが私達を追けてくるなんて思わない……ワケでもないか。


 ユリリン……潮来先生は何食わぬ顔で、パソコンを打ちながら、


「妾の契約は三年間だけ教師をすることなのじゃ。

 今は普通の人間だから、と云うのは忘れて普通に付き合って欲しいのが妾の望みじゃ 」


 本当かなぁ~と胡乱げに思っていると、


「信じる者は救われる、と云うじゃろ !

 のじゃ、けがれに成るからの~う。

 神々は穢れを嫌うのだから信用して欲しいのじゃ !」


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