第36話 春休み ②

茨城冬香いばらき とうかside 】


 兄さんと呼んではいるが、実は従兄妹の茨城恭介

 私と同じ転生者だと判明してからは、以前よりは仲良しになれたと思う。

 しかし、……


 私と兄さんは転生した前の知識があるからこそ、この世界の違和感を感じている。

 大人達は私達、子供に何かを隠している。

 普段なら、その秘密を探ろうとするのだけれども、私も兄さんも前世が大人、それも熟年だったのだろうか ?


 触らぬ神に祟りなし


 好奇心は猫をも殺す


 深淵を除くとき深淵も見ているのだ


 まあ、要するに見て見ないフリをすることに同意見だった。

 せっかく、生まれ変わり記憶を持って転生したのだから、成人するまでは波風を立てることも無いだろう。


 そんな時に、兄さんの新作を見てしまった。

 ハムサラダ一号、兄さん個人のデビュー作を……

 兄さんが小説を書いている途中、お母さんから頼まれて買い物に出かけた。

 お姉ちゃん茨城春香や幼馴染み達が一緒に行く中、私も誘われたけど断った。


「やっ、かったるいので、私はお留守番をします 」


 せっかくの春休み、出来れば、のんのんびよりで休みたいのです。


 ふと見ると、こたつの上にはスマホが置いてありました。

 うっかり者の兄さんのことだから、忘れて行ったのでしょうね。

 ……兄さんが熱心に何やら書いていました。

 兄さんはスマホで小説を執筆しています。

 こんな所に忘れていく兄さんが悪いのです、私は悪くありません。


 好奇心に負けて兄さんの新作小説を読み始めました。



 ◇◇◇◇


 20XX年、各地で起きていた紛争が第三次世界大戦に発展、地球は人の住めない星に成り人類は衰退した。

 地球の周りを回る一部の国は宇宙ステーションに、一部の国は月の裏側の月都市グラナダに、そして……


 日本、アメリカ、欧州の一部の国はに移住して数百年後……



 ◇◇◇◇


 ……兄さん、フラグを立てないでくださいよぉ~ !



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