第30話 底辺作者 ①
【埼玉舞side】
恭介たちの作品を読んだ。
お世辞にも……つまらなかったとまでは思わないけど。
フォロワーは、私達だけだった。
お星さまも、私達からだけしか貰えなかったにも関わらず、恭介は落ち込んではいなかったのは意外だったわね。
ホッともしたが、残念に思っている自分に気が付いた。
落ち込んでいる恭介を慰めて、あわよくば……
逆に自分の
私だけかと思っていたら、
逆に栞は落ち込んでいて、恭介に慰めてもらっていたのが羨ましいと思ってしまった。
恭介は見かけによらずタフなのだ。
知ってはいたけど……
「凡人の僕が、いきなり人気作者様のように成るワケ無いからね。
コツコツと努力して飽きずに続けた結果、徐々に読まれていく喜びがあるんだと思うよ 」
クラスの男共はガキっぽくて、とても恋愛対象には思えないけど、私達が好きに成った恭介は何処か大人びている。
◇◇◇
あれから数日で第二回のお題が発表された。
第2回お題 住宅の内見
内見の意味が解らないのでスマホで調べて見た。
これは…………私達、子供には経験出来ないことだわ。
案の定、栞の顔色は悪い。
しかし、恭介は不敵に笑っていた……何故、笑えるの恭介
私達、子供には経験してもいないことを書けると云うの ?
─────────────────────
【YAC20242】 陰陽師はお得な職業 !
─── 幽霊退治で儲かりまっか ! ───
負債総額 20億円以上と新聞に載っているのを見て、ニヤリと笑う俺。
「なになに、『手抜期ハイム 販売価格 1円』
そう、これは俺たち陰陽師への合図でもある。
ここから、オークションをして落とした陰陽師が除霊をするのだ。
報酬は、この
除霊して転売するも良し、賃貸物件にするのも良い。
世間は幽霊を信じないが幽霊は本当に居るのだ。
夢の高級タワーマンションが土地を含めて一蓮まるまるで 1円 !
俺が買って俺が除霊したら、まるまる丸儲けだ !
しかし、…………陰陽師協会に行ってみると、想定外の横槍が入っていた。
陰陽師でも無い男、伝痛田平蔵がオークションを無視して買ってしまったのだ。
そして案の定、リフォーム工事をしていた伝痛田の会社員である手抜期建設から死亡者が大量に出てしまった。
オークションが中止に成り、ウチの宗教法人の大虎会がタワマンを買うことにした。
日をあらためて、タワマンの内見に来た俺に強い視線が突き刺さった。
高そうな黒いセダンから突き刺さる視線は伝痛田に違いない。
敵情視察か ?
あわよくば、除霊後に奪い取るつもりなのだろう。
俺は素人のフリをしながら、大虎会の
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