第24話 運命の出逢い

【茨城冬香side】


 茨城冬香こと、私は兄さんが大好きだ。

 おそらくは兄さん恭介も……


 あれは、私達が小学一年生の頃に、おままごとをしていたら、粕谷剛かすや たけし鷺田脛夫さぎだ すねおがキャッチボールをしていた。

 本来なら、アノ子達は四丁目の公園で遊ぶはずだったけど、上級生に追い出されて私達の住んでいる五丁目の公園に来ていた。


 私達が、おままごとをしているのを邪魔に思った鷺田が暴投したフリをして野球のボールを投げ込んだのだ。

 兄さんは、私と真弓ちゃんにボールが当たりそうに成ったのを身を挺して守ってくれたのだ。


 幼馴染み、皆は真弓ちゃんを守ったと思っている。

 真弓ちゃん自身も思っているだろう。

 しかし、それは違う !

 兄さんは、私を守ってくれたのだ。

 私と兄さんは従兄妹いとこ同士、だから結婚だって出来るワケで……

 そう、最初から私はを果たしていたワケだ。


 だけど、油断は出来ない……情にほだされて他の誰かに兄さんを取られる可能性だってある。

 現に栞ちゃんと いつの間にか、距離を縮めていた。

 危ない、危ない、油断はしたつもりは無かったけど幼馴染み達、皆がスペックが高いことを忘れていたことに気がついた。


 さくらは、私のマネをして妹ポジションから兄さんを狙っている。

 隣の家、部屋も向かい同士だから、屋根づたいに兄さんの部屋に忍び込んでから兄さんの布団に潜り込む。

 まだ小学生だし、さくらも人一倍小さいから問題に成ってないけど……

 もう少しで中学生に成るのだから、今のまま間違いが有ったらと思うと気が気では無い。


 兄さんの部屋の窓の鍵は壊れている。

 何度、修理しても何時の間にか壊れている。

 犯人は、さくらに決まっている !

 あのロリっ子め、自分の武器を最大限に使っている。

 何度、注意しても止めないし、怒らない兄さんも兄さんだ !


 お姉ちゃん茨城春香も兄さんには、ダダ甘で甲斐甲斐しくお世話をしている、私の最大最強のライバルでもある。

 姉さん女房でも狙っているのだろう、油断も隙も有ったもんで無いわ !


 真弓ちゃんも兄さんに庇ってもらったとから兄さんを特別視している。

 兄さんを運命の相手だと思っているだろうけど、運命の相手は私ですから !


 埼玉三姉妹の内、愛ちゃんと舞ちゃんも別件で兄さんに助けられたことがあるらしく、一方的に想いを寄せている。


 そして、学園にも兄さんを想う女の子が……


 兄さん、どんだけフラグをバラ撒くつもりですか !?

 私の身にも成ってください !


 終いには、オネエ……男にまで…………

 変なフェロモンでも流しているのだろうか ?


 正妻戦争


 この恋のバトル・ロワイアルを勝ち抜き、兄さんの正妻に成るのは私だ !


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