第11話 共同作業

茨城冬華いばらき とうかside】


 もうすぐ、バレンタインデー

 市販のチョコより手作りを兄さん恭介にプレゼントしたいと云う、みんな幼馴染みの希望で、ウチでお料理教室をすることが決定した。

 お姉ちゃん茨城春華以外は小学生。

 料理、お菓子作りの腕は五十歩百歩だと信じたい。


 そうして始まったお料理教室は思っていたより無秩序カオスだった。


 レシピ通りに量りを使う栞ちゃん群馬栞(ぐんま しおり)は良いけど、目分量で大雑把に材料をいれるさくら神奈川さくら

 辛い物が好きなのか、キムチを入れようとする真弓ちゃん千葉真弓(ちば まゆみ)

 隠し味に塩辛を入れようとした美衣ちゃん埼玉美衣(さいたま みい)


 良かった……私は比較的、お母さんの手伝いをしていたから、彼処までヒドく無い。

 え~と、ネコの手、ネコの手っと……チョコを包丁で刻んでいるけど、手を切りそうで怖い。

 同じくチョコを刻んでいる愛ちゃんも真剣だ。


 そうして出来上がったチョコレート。

 私達の愛情が詰まったチョコレートをラッピングした。

 バレンタインデーに皆からチョコレートをプレゼントしたら、兄さん恭介はどんな顔をするだろう。


 余ったチョコレートを皆でお茶をしながら食べた。

 兄さんにプレゼントする量より多いのはご愛敬。

 初め、キャッキャッ言いながらチョコを食べていたのに、急に静かに成ってしまう。


「キャアー、あなた達、お父さんの秘蔵のブランデーをチョコレートに入れたわね ! 」


 いい気持ちに成りながら、ウトウトしていた私の耳にお母さんの悲鳴が聞こえたのだった。

 翌日、私達は手作りチョコレートを禁止されて、市販のチョコレートをプレゼントすることに成るのだった。


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