第10話 期待と不安
【埼玉愛side】
なんて融通の効かない男なんでしょう、
先輩に取っても有益な話なのに、わたしの提案を断るなんて !
せっかく、真弓と藤堂先輩の橋渡しを手伝うと提案したのに……
藤堂先輩曰く「男らしく正々堂々と告白するさ !」
そんな悠長なことを言っていたら、鳶に油揚げを取られますよ !
プンプンと腹を立てながら教室に向かい歩いていると、恭介に真弓が寄りかかりながら歩いていた。
「ちょっと 真弓、出し抜くとは協定違反ですわよ !」
わたしが真弓に文句を言ったら、
「真弓ちゃん、捻挫したみたいだったから肩を貸しただけなんだ。
だから怒らないであげて、舞ちゃん 」
恭介に言われると、これ以上は真弓を責められない。
真弓の胸が少し恭介に当たっているけど、真弓の薄い胸なら大丈夫でしょう。
教室に近づくと中から
「茨城 !
「そうだ、そうだ、茨城のクセに生意気だっぺぇ !」
コイツら、何時かシメル !
「うるさいのですよ、栃木ブラザーズ !
そんなんだから、アンタラは女の子にモテないのですよ。
今年もチョコを貰え無いから恭ちゃんに八つ当たりをしているんでしょう !
ア~アッ、可哀想に。
せっかく、ウチがクラスの男子全員に義理チョコを女子生徒有志からプレゼントしようと思ったのになぁ~。
どうしようかな~、どうしよう、愛ちゃん !」
栃木
「何かにつけて、恭介を目の敵にしている奴に慈悲は無いわ !」
何故か、栃木家は茨城家を目の敵にしているのよね。
「「ごめんね、ごめんね~ 」」
栃木ブラザーズは教室に戻って行った。
この私達の関係性、中学生に成ったら変わるかしら。
バレンタインデーが終わったら、あっという間に卒業式。
期待半分不安半分、複雑な思いで残りの小学生生活が終わろうとしていた。
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