第7話 今川生徒会

【福岡姫子side】


 土方歳絵ひじかた としえが天然理心流の構えを見せるかと思っていたら、ダラリと手を下げている。


「アタシは天然理心流の門下生だが生憎、道場剣法みたいにお行儀良く無いんでな。

 喧嘩殺法こそが土方流よ !」


 俺は正眼、まっすぐじゃなくてちょっと半身に崩して、剣先ものどというよりは右目につけるように構えた。


「なっ ! 貴様、示現流ではなかったのか !?

 その構えは、柳生新陰流 !!

 面白い、やはり貴様は面白い奴だ 」


「……苗字みょうじで判断したな、戦闘狂いバトルジャンキー

 お前土方に好かれても少しも嬉しく無いわ !」


 俺と土方のにらみ合い、互いに動けない。

 先に動いた方が負ける……悔しいが、俺も土方も剣士としては未熟だ。

 いつの間にか、人だかりが出来ていて……


「二人とも待って、ケンカはダメだよ !」


 騒ぎを聞き付けたのか、恭介が俺と土方の間に割って入ってきた。


「「恭介 ! 」」


「「ん ? 貴様、恭介の知り合いか !?」」


歳絵土方先輩も姫子福岡先輩もケンカは止めてよ !」


 俺達は理解した、コイツも恭介に懸想けそうしていると !

 そうなると、益々負けられない !

 今のうちにライバルは一人でも消さないと……

 それは土方も同じだったようで、


 ♬♫♪♩♬♫♪♩♬♫♪♩♬♫♪♩♬♫♪♩


 何処からか聞き覚えのあるような曲が流れると、


「そこまでよ !

 戦いのむなしさを知らぬ愚かな者達よ………戦いは愛する者達を助けるためにのみ許される。

 その勝利のために我が身を捨てる勇気を持つ者………人、それを『英雄』という!

 闇ある所、光あり………悪ある所、正義あり

 今川生徒会 副会長吉良大和きら やまとが、この場を預かるわ !

 両者、引きなさい ! 」


 ついてない、生徒会が出てきたのなら退かざるをえないわ。

 吉良副会長の後ろには、生徒会書記の柳沢弥太郎が控えている。

 つまり、吉良副会長の私兵である柳生嵐子も近くにいるはずだ……

 あまりにもが悪い、悪すぎる !


「会長だ、生徒会長の今川徳子先輩が来たぞ !」


 どうやら、土方も会長、副会長の二人には頭が上がらないようで顔色が悪い。


 恭介は、会長の今川徳子や吉良大和から褒められていたが、俺と土方は……





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