第20話

 しばらくぶりのテールからの着信。

 件名なしのメールには一枚の写真が添付されていた。


 須藤さん──店長に後ろから抱きつかれ、死んだ魚のような目をするテールの写真が。

 着替え中だったらしく、ちょっとあられもないことになっていた。


 少し迷って保存する。


顔を上げると長谷川と目が合う。

 僕もこいつも、同じような顔をしていた。


高速で着替え競うように走り出した僕らは例によって女子更衣室の前でいがみ合い。

プールではしゃぐ子どもたちの声を尻目に。


「だからなんでお前までこっちに来るんだよ!?」

「それはこっちのセリフだっ!!」

「うるっさいなこっちは止むに止まれぬ事情があるんだよっ」

「こっちだってそうだっ!」


 間違いない。コイツにも同じような趣旨のメールが届いたんだろう。

 睨み合うこと数分。

一種即発の空気が流れ出す中、突然肩を叩かれる。


「あぁん!?」


鬼の形相で振り向くと、帽子をかぶったスタッフらしきお兄さんが立っていた。


「……君たち、ちょっと、いいかな?」



────────────────────────────────────

この小説のトップページ(表紙)または最新話のページの『★で称える』の+ボタンをいっぱい押したり、ハートを押したりして応援していただけるととてもうれしいです!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る