第2章 もう1つの心臓
10 探索者ギルドにやってきたぞ
ガルーに連れられてきたのは
ダンジョンとやらに潜り、生計を成り立たせてる人たちのことらしい。
ダンジョンというのはアレだろ。地下迷宮のこと。知ってる知ってる。
でも、それに潜るというのはどういうことだ? わかんないなぁ。
説明をガルーから受け、
「魔力がないですね」
変な場所に連れて来られ、透明の壁の向こうにいる人にそう言われた。
なんなんだよ全く! ここも魔力があるかどうかで決まるのか!
『この施設を利用するなら、登録をしていただかないと』
なんて言われて、ガルーにしてもらおうかと思ったら、俺がやる羽目になった。
デカい球体にかざしていた手を離した。これで測れたらしい。
「で、魔力がないとなるとどうなるんですか?」
カウンターの向こうにいる受付嬢を見上げながら聞いてみた。
「
「腕っぷしはあるぞ?」袖を捲って見せてみる。あら、ぷにぷにしてた。
「魔力がないので。案内できるとしても荷物持ちや採掘係ですね」
受付嬢は俺の身体を上から下まで見て、考え込むように瞼を閉じた。
なんか失礼な言葉を耳障りが良い言葉に変換してそうな時間が過ぎて。
「今はそちらの仕事もありませんので、また後日にでも」
荷物持ちや採掘係もチビに任せるのはなぁ……ってコト?
まぁ、そりゃあそうか。というか、別に登録したかった訳じゃないし。
「でも、酒場は利用できるんですよね?」
「はい。
情報収集のためとはいえ、なんだか辛いなぁ。
298年後の世界で、俺はとことん使えない奴らしい。
「ロイ様! どうでした!!」
「魔力がないやつは
魔力なしという言葉を聞いて悲しそうな顔になって、OKと聞いて笑顔になった。
「でも、なんで
「魔石を取るからですね。あと危険ですので」
「へぇー……?」納得したと思ったら分からない単語だった。「魔石って?」
「モンスターや魔族を倒したり、ダンジョン内に群晶してる紫色の。あ、コレです!」
手元に出したソレを見て、理解した。
「コレ魔石って呼ばれてるんだ。コアとか、核って呼んでた」
これ、モンスターとかの魔石かな。魔人の奴とはまた違う気がする。
「なんでコレ持ってるの?」
「魔道具で仕事をしてるので、その補充用です」
一つ要ります? と言われたので受け取っておいた。
「それに、今は魔石のエネルギーを使って生活してるんですよ。この施設の明かりや、あの扉の開けしめも。あと、資料館もそうですね」
「へー……えっ」
自動で開く扉、照明、そして資料館の中は人の声が上から聞こえたり、外の温度と違った気もする。あれも魔石のエネルギーを使用してるってコトか!
へー……確かに……確かに? 本当にそうだな!
約10年間も魔王領をウロウロしてた身からすると、人の住んでる所自体が久々だから、気が付かなかった。
当然のように技術が散りばめられてる。298年でどこが変わったって、そういう目に見えないところも変わってるのか。
「あ、だから
魔法の時代って呼ばれてる理由もそういうところにあるのかな?
魔力が生活を支えてて、魔力を取り扱うのが当たり前の世界だから。
その魔石があるダンジョンに潜るのも魔力がないと許可されない。
燃料になる石炭を取るために炭鉱に行った感じだな。
ふむ。色々と読めてきた。文字通り、魔法の時代なんだな。
「鉱石を取るだけじゃなく、モンスターを倒す必要があるから強い方ばかりで」
「だねー」ここはガタイの良い人ばっかりいる。「みんな強そうだ」
鉱夫も危険な仕事だったが、
そんな話をしながら、併設されている酒場とやらを探す。
キョロキョロしてると壁にかけられている看板のようなモノを見つけた。
地下が酒場、と。なるほど。
「お、酒場あった。行こう」
「はいっ! 酒場、実は初めてなので緊張するなあ……」
「そんな怖い場所じゃない。面白い人間ばかりいるし、あまり気負わず。で、ハイ」
ガルーは俺が出した手を見て頭の上にクエスチョンマークを乗せていた。
「お金、ちょーだい」
金をぶんどって酒場に入っていく。貴族様なんだから良いだろう。
話を聞くのにタダでってわけにはいかないからな。
情報を聞きてぇなら酒くらい奢れ、という奴である。
地下酒場は盛り上がっていた。働いた給金を全部酒代に変えるような勢いだ。
そこで、俺は色々な話を聞いた。
この国のこと。周辺国、貴族領。きな臭い話。
異人種のイメージ。近頃の動向。戦争の気配。
勇者の話。魔力なしへの印象。
魔族の状況。魔王領地の取扱い。魔法や武技。
そして──
「はぁ、戦争中だぁ? マジかよ」
「マジだよ、知らねぇのか? まぁ、学び舎じゃあ教えてもらわねぇか」
どうやら、ナモーが国王である
もう頭が痛いんだが……! なんでそんなことになってるんだよ……!
「なんで戦争なんかしてんだ?」
「国王サンの息子さんが宣戦布告したんだと。実績作りじゃねーの?」
「なんだそれ……勝ち目はあるのか?」
「剣王国だからな。アンスロとはいえ、剣聖らの方が優勢だろう」
「ン。その剣王国ってのは剣聖が国主をしてるのか?」
「そんなことも知らねぇのかよ、おまえの先生はハズレの先生だな~」
剣聖、か。今もいるのかよアイツら……。
俺が生きてた時代からいる剣聖、斧聖、槍聖、拳聖、魔法聖。
それはその道を極めた者として扱われる。言い換えれば、
生まれてからその力があるケースや、突然目覚める者もいる。見た目での判断は難しいが、人の限界を優に超えてるから戦ってみるとよく分かる。
(剣聖が治めてる国ってことなら……いっぱいいるんだろうな、剣聖が)
絶対数は少ないが、一人じゃない。それが厄介だ。
で、そこの息子が戦争をしかけたと。実績作りと言っていたが、詳しい話は出てこないだろう。
「エルフやらドワーフの話はないか?」
「坊っちゃんは勇者の敵討ちでもしてぇのか? あ、資料館に行ったばかりか!」
「ゆーしゃ、かっこよかった」
「そーかそーか! だが、わりぃな坊主。その2つはねぇな」
「そうか。この酒は奢りだ。あと、もう一品くらい食ってくれ」
金を渡すと目を瞬かせていた。
「はっ、これ……おおすぎっ」
「いいって、情報料。大事だ。健康に気を付けていっぱい飲むと良い」
貨幣価値なんて分からんから、ガルーからもらった内の数枚を渡した。
アイツ、王様から御駄賃だっていってお金もらってたからな。
(とりあえず、まずはナモーと会うべきだな。早く助けに行かないと……)
だが、この身体の具合が分からない。
298年も封印をされていたのだ。それに、昔の技術がどこまで活かせるのかも不明。
思ったよりも弱くなってる可能性があるしなぁ。
力を使ったらどうなるのか。手頃に試せれるような相手でもいれば良いんだが。
「おいおいなんだよ。ここはガキの来るところじゃあねぇぞ」
「ン?」
ヌッと目の前に現れたのは……あ、俺の後に魔力を測る部屋に入った男か。
首から認識票をつけてるってことは……えーと。
「あ、
心からの賛辞を送ったら、青筋が浮かんでた。なんでだよ。
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