知らない人から電話がかかってきた話

 知らない人から電話がかかってきた。電話を受けたのはリカという名前の女子大生で、黒髪のロングヘアーをドライヤーで乾かしているところだった。

 リカはスマホの画面を確認しなかったから、全然知らない声で話しかけられて驚いていた。リカが「誰?」と聞いても電話の声はそれに答えなくて、すごく可愛らしい小さい子の声で「今A駅にいるの」と繰り返していた。

 メリーさんという有名な怪談とそっくりだから、気味が悪かった。でも、リカはイタズラ電話だと思ってその番号を着信拒否にした。現実的というか、あんまり怖がりではないからだ。

 そしたら、すぐにまた電話が鳴った。今度はリカはすぐに着信拒否にして、それからスマホの設定をいじった。スマホというのはiPhoneで、それは登録してない番号からの電話の通知を消せる。リカはそれを使ったのである。

 その後、リカは髪の毛を最後まで乾かして、ストレッチをして、部屋の電気を消した。彼女がすうすう寝始めたのを確認して、僕はベッドの下から出た。リカのことが心配だったからだ。

 リカのスマホを確認すると、通知はなくても履歴に知らない番号がたくさんあるのが見えた。とりあえずその番号をメモって(無音カメラで画面の写真を撮った)、僕は一旦リカの家の外に出た。ちゃんと鍵を閉めて、それから駅まで歩いた。

 今僕は、リカの家の最寄り駅とA駅の真ん中あたりまで電車で来たところだ。今から自分のスマホからメモった番号に電話をかけて、リカのかわりにメリーさんと会おうと思う。メリーさんの声は本当にすごい可愛かった。

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