第45話 かつての仲間
サラさんの店を出るとすぐにクリムゾンが俺の前に立ちはだかった。
「二日かかるってことは準備が必要だZe!」
確かにクリムゾンの言う通りだ。しかし……
「クリムゾン、お前もまともな思考をする時があるんだなぁ」
素っ裸になるし、威厳のある言葉遣いは程遠い。人の服を剥ぎ取ろうとするクリムゾン。どこをどう考えてもまともな思考とは思えない。
「当然だZe! ナウマスターはオレと違って人間だからな! 水と食料は大事だZe!」
すげー。クリムゾンからここまで正論が飛び出るとは思えなかった。でも、こんなにクリムゾンが正論を述べてるなんて槍でも降るんじゃないか?
と俺が考えてるとクリムゾンが言葉を続けた。
「アジュールが居ないから水の確保も大事だZe!」
「アジュール? 誰だそれ?」
俺は知らない名前に思わず反応してしまった。居ないって言ってたから多分人物名か何かなのだろう。
「ああ、水王アジュール。全ての水を統べる存在なんだNa! 前は一緒に旅をしたんだZe!」
水王とやらと一緒にクリムゾンが旅をしていたのか……ってことはクリムゾンとアジュールとやらと契約した二人が揃ったのか?
「凄いな、精霊の王様が二人? って言っていいのか? ともかく二人も揃ったのか……」
二人という表現が合ってるのかわからないが、俺はそう呟いてしまった。が、クリムゾンは俺の呟きを否定してきた。
「ちげーよ、ナウマスター! 四王だZe! 勢揃いだZe!」
「四つの王? 四人がそれぞれ各王と契約出来るなんて、凄いパーティーだったんだな……」
「四人? 違うぞ? ナウマスター! オレたちと契約したのは一人だけ、旅はずっとその人と一人のエルフの二人旅だったZe!」
俺は耳を疑った。確かに聞いた話だと一人が契約出来る精霊の属性は一つだけだったはず?
「え? 一人が契約出来る精霊は一つの属性だと聞いたんだけど……」
「大丈夫、基本はそれで合ってるZe! そうしないとオレたち精霊が取る魔力の取り分が減っちゃうからNa! でも、ナウマスターの魔力は別だZe! いくら喰っても減らないんだから喧嘩する必要もナッシングだZe!」
そう言えばいくら喰っても減らないてクリムゾンは言ってたな。なら納得だ。
「ってことは俺もクリムゾン以外の精霊と契約出来るのか?」
「ナウマスターは同じ魔力を持ってるから多分可能だZe! 少なくともオレはナウマスターから離れるなんて考え……す、捨てないですよね?」
「あ、ああ。大丈夫だよ。クリムゾン」
急にクリムゾンにネガティブが湧いてでた。俺は安心させるように頭をポンポンと叩いた。
「よ、よかったZe! なら早速魔導具屋に向かうんだZe!」
そう言ってずんずんと進むクリムゾンに俺とアリアは付いていった。
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