第41話 ヤケ酒
「マスター! エールをひとつ!」
カウンターに着いた俺はマスターにエールを頼んだ。こうなりゃヤケ酒とやらをやるしかない。未成年? んなの知ったことじゃない。ここは異世界だ。日本の法律? そんなの関係ねぇ!
「おいおい? さっきいらないって言ったばかりじゃないか?」
「いいの! アリアに飲ませなきゃいいだけだから!」
そうそう。飲んで問題なのはアリアだ。俺はちょっとなら大丈夫。
「ほらよ! ってか急用ってのはもういいのか?」
「ああ、今、上でアリアが対応してくれてるよ!」
俺は貰ったエールをゴクッ! ゴクッ! と勢いよく飲み干した。味わって飲むような味じゃないから一気飲みするしかない。
「あーまずい! もう一杯! あと、適当に何か食べ物を……」
「おいおい……大丈夫か? まあ良いけどな。ほらよ。あとこれでも食ってろ」
マスターはエールを一つとつまみに木の実が入った器を出してくれた。俺はポリポリとその木の実をつまんだ。
「ってお嬢ちゃんが降りてきたぞって、ん? もう一人いるぞ? 誰だ? あんな女性居たっけか?」
マスターはアリアが降りてきたことに気づいたようだった。ってか俺はクリムゾンのことをすっかり考えてなかった。マスターにとっては、いつの間にか上に居たんだから疑問に思うのも無理はない。俺は咄嗟に取り繕った。
「あ、ああ、俺の仲間ですよ。さっき上に来て貰ったんだけどマスターは気づかなかったのかもしれないですね。ってそうだ! 今日から一緒に泊まるんですけど、いいですか?」
「いいも何も別に一部屋いくらでお金貰ってるからなぁ。別にいいんじゃないか?」
マスターは快く快諾してくれた。エレーナさんもマスターも俺たちのことを可愛がってくれててとてもありがたい。
「ナウマスター! 着てきてやったZe!」
クリムゾンは俺の横にどかっと座る。
「ああ、って! そ、それ! そ、その服は!」
俺は一瞬クリムゾンに目をやるが、慌てて目を逸らす。エレーナさん! 絶対わざとだろ! 俺の反応を見て楽しんでるに違いない!
クリムゾンと反対の席に座ったアリアは、申し訳なさそうに乾いた笑みを浮かべている。きっとエレーナさんを止められなかった故の、笑みなのだろう。
俺の目に飛び込んできたのはクリムゾンの豊満な胸と際どい胸元だった。パッと見赤基調の服なのはわかったが、それ以上に至近距離で谷間を見てしまったものだから、既に俺の頭の中は
クソッ! こんなの飲むしかないじゃないか!
そう思った俺は照れ隠しに、と、二杯目のエールを勢いよく飲み干し……
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