第7話 助け
俺はポンポンっと肩を軽く叩かれた。そして、耳元で小さな声が聞こえる。
「大丈夫ですか? 生きてますか?」
どうして魔物が俺の心配をするんだ? というより、魔物って話せるのか? いや、この声は聞き覚えがある! 確かさっき庇った少女の声にそっくりだ。まさか?
俺はそう思いゆっくりと顔を上げて目を開けた。すると、先程、庇った少女が中腰で俺の顔を覗き込んでいた。
「良かった……生きてる……」
少女の目にじわりと涙が浮かんだのがわかった。もしかしたら死んでしまったと思ったのかもしれない。こんなに傷だらけで身動きしないのならそう思われるのも仕方ない。でも、庇ったのは俺の意思なのに、悲しんでくれるなんて良い子だな。
「あれ? やっぱり君はさっきの、ってここも危ないよ! なんで戻ってきたの!」
そう、まだ近くに魔物がいるかもしれない危険な状況だ。俺はそう言ったが、その少女は口元に指をあてて再び小さく囁いた。
「シッ! 魔物は近くに居ません。今のうちに移動しましょう。立てますか?」
俺は黙ったままゆっくりと頷いた。少し休んだお陰で若干ながら体力は回復した。全身がちぎれるほど痛いが、見捨てていけと言っても多分聞かないだろう。この少女は近くに魔物がいないことを知っているみたいだ。そんな中わざわざここまで来てくれたんだ。無理に追い返すことなんか出来ない。今はこの少女を信じるしかない。
俺はゆっくりと立ち上がった。それを見届けた少女はなるべく音を立てないように俺の前を歩いた。その歩みの速度は傷だらけの俺でもなんとか追える程だったことは本当に助かった。
二、三十分程だろうか、暫く歩き続けると、ピタリと少女の歩みが止まり、振り返って俺に微笑みかけた。
「ここまでくればもう大丈夫です」
「もう大丈夫って?」
「この辺りは結界が張ってあって、弱い生き物しか入ってこれないようになってます。だから魔物は殆ど入ってこれません。仮に入ってこれるような弱さの魔物なら、私でもなんとかなります」
俺は辺りを見渡したが、変わった様子などわからなかった。だが、
「そっか、ありがとう。助かったよ……ごめん、もう限界だ……ちょっと座っていいかな?」
そう言って俺は少女の返事も待たずに座りこんでしまった。必死になっていたからか、安心して急に疲れが出てしまったようだ。
「いや、こちらこそ先程はありがとうございます」
少女はそう言ってぺこりと頭を下げた。その時、俺は、少女の頭にある
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