第13話 【仇敵】

俺は、伊川に頼まれたことをするべく、教師を探してる。

相棒、大丈夫かな……警察もついてるんだ、大丈夫だと信じてるぜ。

さぁ、俺は、救出されるまでに言わなきゃな…






:お前は、もう包囲されている!! :

:大人しく人質を解放しろ!! :



カツッカツッカツッカツッ


:おっ、伊川か… :

:こいつぁ、ダメだな…後ろが海だから、うかつに突入できない… :

[そのようですね…]

:うーん、どうすっかね… :



[まず、犯人を我々の前に引摺りだしたいですね……]

(………! 出きるか…いや出来たとして…)


[警部、思いつきましたが、そこで、頼みたいことがあるんです]

: !? :


[船を一隻、お願いしたい……]


: 船!? わかった :




[準備が出来しだい、始めましょう]






25分後




[……あぁー、あーー、あー、マイクテスト、マイクテスト、あーあーーアーーー]


[えー、犯人さん、お初です。あなたの弟分を捕まえたのは、私です。]



!!!!!!!!!?????????!!!!!!!!!?????????


『(伊川くんだ、気づいてくれたんだ…)』


犯人が顔を出した……


[5年前、そこにいる少女が誘拐される事件が起きました。始めは単なる偶然だと思った。何の関係性もなく、そこにいる少女の運が悪かった、とね。だが、山小屋の前の所有者が、その時の被疑者と分かった。事件後、別の人間、まぁ、あなたがその山小屋を引き継いでいた。5年前の事件当時、あなたは、現場にはいなかった。関わっていたのかすら、分からないが…。5年前の被疑者には、兄貴分がいたと、その後の捜査で分かってはいました。5年前の被疑者がその事については頑なに供述しなかったので、手詰まりとなり、あなたには届かなかった。だが、この被疑者の刑が確定後、幾度も被疑者の元へ面会に行っていますね。刑務所の面会者名簿にあなたの名前が合ったと聞いています。そうなのでしょー? 実行犯の角倉さん。]


□てめぇだったのか!?

□あぁ、そうさ、俺だよ!! あいつが言ってたんだよ。この女を拉致して俺に写真を送信した直後、バイクに乗った白いタートルネックを着た男と、それより若い黒い服着たガキが、邪魔してきたとな!! 一緒に愉しむ筈だったのに、すまねぇってな。だから、あいつの無念を晴らしてぇと思ったのと、写真見て、この女に惚れてよ、愉しみてぇと思ってな!!


(まだか…)


[えぇ、私は、そのガキの方です、白い方は、相棒…ですね。]


□なら、こっちこいよ、ギッタギッタにしてやるからよー


[ギタギタにするって言ってるのに、行くわけないでしょ…]

[ただでさえ、運動音痴で、あなたの弟分に刺されたというのに…]


(きたか!! )

[ちなみに、どこで、そこにいる少女があの事件の被害者であると、どうして、この学校にいると、知ったんです?]


□コイツの親が、拐われた娘を助けてくれた人ですって、白いやつを新聞に載せてたんでな! お前は載ってなかったがな…


□コイツの学校の方は、言えねぇ。感謝してッからな。


[そうですか…やはり、あの新聞で……ック(何故なんだ…秀二、なぜ、一言の相談もなく…)…]


[言えない方は、ぜひ、ご教授願いたいもんですがね…話してくれないなら、仕方ありません…どうせ証拠も捨てているでしょうから…]



[まぁ、とりあえず、一言……ふぅー、

こっんの、ロリコンやろう! ふざんけんなよ、広松には関係ねぇだろうが!! ]


□なんだと!! このやろう!!


包丁を伊川の方へ向けた…



バシャン!!!!

犯人が、海面に引摺り下ろされた……



バシャン!! バシャン!! バシャン!! バシャン!!

水面から、ダイバーが、一斉に船に上がった。



『もぅ大丈夫だよ、広松さん』

『えっ!! はっ、はい。』


:やったぜ!! 上手くいったな!! :

[えぇ、上手くいきましたね。]





{ [警部、思いつきましたが、そこで、頼みたいことがあるんです]

: !? :


[船を一隻、お願いしたい……]


: 船!? わかった :


[ダイバーを数人乗せて、船で近くの岩場まで、運びます。そこからは、ダイバーが海面からは見えない深さで泳ぎます。私が引き付けますから、犯人が包丁をこちらへ伸ばした際に、犯人を海に引摺り落とす。そして、ダイバーたちが一斉に船に上がり、少女を確保し、海に落とされ、混乱している犯人に、浮き輪を投げ、そのままにしておき、警察が取り押さえるという寸法です。これでどうでしょう?警部。]


:そのダイバーの役警官でもいいんじゃねえか?:




[レジャーでの体験ダイビングなどは、要りませんが…それ以外で、酸素ボンベを背負って泳ぐには免許が要りますから、それを持った警官を準備する時間は現実的にありませんから、仕方ありません。]


[ですから、浮き輪を投げて、それで放置がベストです。 ] }



『犯人確保!!!!』

『被害者、無事救出!!!!』


『しゃあーーーー!!』『よっしゃーー!!』

『うぉーーーー!!!!』




帽子を投げる警官、抱き合う警官、騒ぐ警官……被害者を無事救出できたことに喜び合う、警官たちで溢れている





『いっ、いっ、伊川くーーん!!!!』


[? あぁ、広松か…]


伊川の胸に飛び込み啜り泣く広松……


『あ゛り゛が ど う゛』

『ごわがった……』


[無事でよかった。しかしモールスなんて、よく覚えたな…]


『伊川くんに言われたから……』


[何のことだ?]


『周りに助けを求められる勇気を忘れるなって…』

『だから、必死に覚えたの!!!!』


(うん?)


『周りに助けを求める方法!!』


[フフッ ふはハハハ!!!! どうせ覚えるなら、誘拐されない方法覚えろよ]


『(伊川くんて、こんな風に笑うんだ!! めっちゃ、嬉しい)』



:ヒューヒュー伊川、いつの間に彼女なんて作ったんだーw:

[そんなんじゃ、ありませんよ……]


『私は…そんなんでもいいんだけどな…』ボゾボソ


[うん? なにか言ったか?]



:一応、君は、病院、行こーな:

:親御さんも、こっちへ向かってるからな…:

:伊川は、そろそろ施設の方帰れ、あとはこっちでやっとく:

[ええ、よろしくどうぞ]

『は、はい…(いい匂いだったな……)』





□よくも、邪魔したな……今度はお前を殺してやる


[へぇ、警部にこってり絞られて、刑務所で臭い飯を食べてなお、それが言えるなら、やってみろ…いつでも相手してやるよ、ロリコン野郎。だがな、私はお前を人間扱いしませんよ。

小児性愛者、これ自体は否定しません。だって、人それぞれの性癖であり、それを排除したら差別でしょ。でもね、それを実行したら、許さない。子どもは、社会全体で守り育むものだ。お前のような、下衆野郎が、汚い手で手折っていいようなもんじゃねぇんだよ。]


□俺たちだって人間だ!! 別にいいだろうが!!!!


[いいわけねぇだろ!! お前たちのため…だけではないが、小児性愛物の漫画やアニメ、それに関する法律はグレーゾーンになっている。それらを完全に禁止したら、お前たちが実際に非力な子どもたちで、やってしまうかもしれない。子どもたちを守るためにグレーゾーンなんだ、勘違いすんな…下衆野郎。世界的に見れば、それらも禁止されてるところだってある。お前たちは排除されていない。それだけでもこの国に感謝すべきだ。つまり、調子にのるなって、ことだ。]


:それらを考える時間は、たっぷりあるから、安心しろよ。こってり絞ってやるからな下衆。:








30分ほど前



「あー! 居た居た先生たち!!!!」



「まもなく、伊川くんが、広松さんを誘拐した犯人の元に警察と共に向かいます。あの顔からして、絶対無事に救出する算段があるんだと思います。」

『えっ!?』 『なに?』 『ホントだったんだ……』『…』


「伊川くんから、伝言です。どうでる? だそうです。」


『どうでる、とは?』


「さぁ? よく分かりません。でも伊川くんは何もかもお見通しみたいですよ。では、みんなのところに戻ります。」









『そろそろ本島に帰る時間です。広松さんは無事に発見されました! 病院に向かったと親御さんからお電話がありました。ですから、私たちも帰りましょー』


『伊川くんはー?』

『伊川くんは、そろそろ帰ってくるだそうです。』


『伊川くんが帰ってきしだい、挨拶をして帰りましょー』





数分後



カツッカツッカツッカツッ





「お疲れ! 相棒!!!!」

[あぁ、今戻った。]







『伊川くん、さっきは信じなくて、ごめんなさい…』


[いや、別に気にしていませんよ…そういうのは今に始まったことではありませんから…]


『それじゃ、帰りの挨拶、お願いね。』


(えっ…してないの!? チッ)



[…分かりました……]



[1泊2日、施設の方々には、大変お世話になりました。この2日間で、いろいろなことがあり、私たちは少しは仲良くなれたと思います。卒業する頃、この2日があったことを、忘れているかもしれません。そうだとしても、この2日がなければ、仲良くなる時間はもっと長かったかもしれない。ですから、施設の方々、本当にありがとうございました。]



(☆(黒幕)伊川旺司……お前が産まれたせいで…お前が関わったせいで、あの子は……秀二は、私たちの手を離れていき、死んだんだ…お前に殺されたんだ……絶対に許さない、…絶望の中で惨たらしく殺してやる…伊川旺司。)














(さぁ、どうでる…黒幕の○○先生……あなたが何者で、何が目的は知らないが…いつか、必ず白日の元に晒しだす。それまでは、その首預けておくよ……)

























































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