第9話 【疑問】
島の探索、めっちゃ疲れたー。足が棒になるかと思ったぜー。山に登るとは思わなかった…伊川めぇ…アイツが先々、色んな所を覗いたり、聞いたり、山小屋に行かなきゃ登らなかったのになー。でも、裏口見てからのアイツ、めっちゃ変だったなー。
『ねぇ、渡くんは、伊川くんとどんな関係?』
「ん? うーん、そうだなー 友だちかなー」
「それが、どうかしたん?広松」
『伊川くんの友だちならさー、"シュウジ" って名前知らない? 』
「えー?うーん…ごめん、知らんなー。そいつがどうかしたん? 」
『そっか…知らないならいいや…伊川くんに聞いたら、はぐらかされちゃってさ…ごめんね変なこと聞いて。それじゃ、火起こし頑張っねー』
トントントントントントン トントントントントントン
『伊川くん、キャベツ切るん、はやっ…しかも、細っ…』
ジュージュージュージュー
『手際…よすぎ……私たちすることなくなっちゃうw…』
『はい。伊川くん、お玉置いてー』
『君は見て、指示してあげてー』
[えっ、どうせ食べるなら、美味しいものをって言われたんで、彼女たちは、お世辞にも料理に慣れてるとは…言えないんで…あれじゃ……ね…]
『うーん、まぁ! じゃがいもの皮が分厚くたっていいじゃない、人参生煮えでもいいじゃない、トマトが多少潰れてもいいじゃん、いずれ思い出になるよーw 私も昔こういう思い出作ったからさー』
『伊川くんは、いい主夫になるよーwww』
[差別はしないが、料理が多少出来ないような女はちょっと…]
『えっ!? マジで~ヤバっ…帰ったら料理、お母さんに教わらなきゃ…』
『どしてー?』
『だって…伊川くんと……モジモジ…テヘッ』
『奏、かっ、かっ、かわいいーーーーーー』
『もぅ、そんな言い方しちゃだめじゃないー。友だち居なくなるよ、それに女を敵に回すと怖いよー』
[別に…構わないんだが……]
『はい、なら、伊川くん火起こし組、見てきてー』
(まさか追い出されるとは……)
『あのー、施設長』『どしたー?』『消毒中の包丁が一本足らないんですけどー』『包丁もか!?』『シーツに、レインコート、今度は包丁か…』『ここ1週間で物失くなりすぎじゃないですかー?』『そうだなー、張り紙した方がいいかもなー』
(うん? シーツに合羽、包丁? )
[あのー、お聞きしたいんですけど…]
『あー、西高の生徒さん、何か必要な物でも?』
[いや、ちょっと話し声聞こえましてー。すこーし気になりまして…。ここ一週間で消えたんですか?]
『そうなんですよー。前回の船の定期便が来てからだから…丁度今日で一週間ですねー』
[他に失くなったものとか、一時的に失くなってた物とか、どんなに些末なことでも構いません。思い出してもらえません?]
『あぁ、そういえば、車の鍵と、アレルギー調査の為に集めた西高の参加者の名簿が少し見当たらなかったことがありましたねー』
[?車の鍵に、名簿…ですか……]
『ねぇねぇ、君の学校ではそういうの最近流行ってるのー?』
[えっ?]
『いやーねー、君のところの学校の、小島先生も聞いてきたからさー、気になっちゃってー』
[へぇ…小島先生が…(一体なんのために…)]
[ありがとうございました…]
(施設の中…調べてみるか……)
チャック付きのビニール袋から白い手袋を、取り出した……
トイレから何から鍵が空いてる部屋は全て……漁った。
ここまでは、何もなかった…
(ここは、A組の女子部屋か…調べるべきだな…)
(悪いからな、さっと調べるか…)
[これは……(外に面する壁の、枕の辺りに1.5cmほどの穴…)私たちの部屋にはなかった…]
[外に面するベッドの枕側には、全て穴がある、一体これは…]
[さっさと出るか…]
(隣はBか…)
[Bの女子部屋には…穴はなかった…]
(階段を挟んで、Aの男子部屋…)
[穴は…ないな……うん? …何か落ちてる…長い白い帯…誰の荷物だ…"KATO" あぁ加藤か……]
調査終了、一息つく伊川。
(なんとなくだが、分かってきた……だがしっくりこない上に、推測の域をでない…皆の所に戻るか…)
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