隠すの下手な〇〇君

一ノ瀬 夜月

宇宙人、潜入す

 人間ひとま ことは、とある星から地球へ派遣された宇宙人エイリアンである。異の任務は、ひそかに人間の生態を調査し、征服可能かを判断する事。


 任務を遂行する為に、自国の技術力を活用し、容姿を人間そっくりに改変した。その際に、言語能力を得ることにも成功した。


 更に戸籍情報をも改竄かいざんし、"高校生の男子"という身分を手に入れた。これらの下準備をて、異は学校へ向かう。



 「俺は転校生の人間 異です。これから宜しくお願いします。」


      

       《よろしく〜》


 

 まずは、怪しまれずに潜入出来たことに、異は安堵あんどする。だが、任務はまだ始まったばかり。いつ窮地に陥るか、分からない。



〜数日後〜


 「うちの犬が、昨晩亡くなっちゃったの〜。ずっと一緒に育ったのに、急に居なくなって...受け止めきれないよ。ぐずっ」


 「その犬は老犬だったんだよな?なら、寿命が来てしまっただけだ。切り替えて、別の犬を飼えば良いよ。」



       「えっ?」


 

 「異、何言ってんだよ!?長年一緒に居たペットを、そう簡単に忘れられる訳ないだろ!お前...何かおかしいぞ。」



 「あっ、ごめん。気に障る様な事言って。今の発言を撤回させてくれ。」


 

 「良いよ、謝らなくて。そういう価値観の人も居るよね。でも、日本では少ないと思うし、異君って......外国出身だったりするの?」



 「あぁ、幼い頃は海外で育ったんだ。」


 「なる程、だからか〜。」


        「......」


 他所の星から来た事は勘付かれていないものの、異は自身の失敗を痛感する。このままミスを積み重ねると、いずれ秘密を暴かれてしまう恐れがある。


 秘密を保持しつつ、任務を遂行する為、異はより一層人間を理解しようと努めるのだった。


                  終



〜あとがき〜


 創作フェスのお題を全て、描き切りました〜。個人的には、危機一髪が描きやすかったです。すぐに大まかな内容が決まったので。


 逆に描き辛かったのは本作です。秘密というテーマだった為、エッセイやミステリーも考えましたが、中々決まらず...


 最終的に、日頃書き留めているアイデアメモに丁度良い材料があったので、それを元に作りました。


 さて、カクヨムコンも残すところ半月。私は今メインで執筆している「勇者犬」を全力で書き切る所存です。よろしければ、ご覧下さい!


 ※正式なタイトルは『勇者一行、犬同伴で魔王討伐に挑戦す』です。

 


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隠すの下手な〇〇君 一ノ瀬 夜月 @itinose-yozuki

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