第3話 アイドル事務所の洗礼

ここが''スターライト事務所''か


想像していたよりかなり大きく上を見上げる程のデカさだった。

そもそも、

スターライト事務所は、アイドル事務所の中でも一位を争う有名所で、

テレビでよく見かけるアイドルの7割が

このスターライト事務所に所属している。


だからというもののより一層、この事務所に入るのを抵抗すると言うのに、お父さんと来れば...


「私の娘が遂に...この事務所に...感慨深いなぁ...」


と謎に感動していた。

全く呆れるお父さんである。


「あら、いらっしゃい。噂は聴いてるわよ

ナギちゃんこの事務所に入るんですって〜

これは凄いことが起こるかもね!!」


うーん。確かに超大御所のこの事務所にとびっきりのブサイクが来たら凄いことになるかもね。


ちなみに、この受付に居たのは

スターライト事務所を立ち上げるからの家族ぐるみで仲が良い

一之瀬 ヨモギさん 愛称・よもぎん


どこかに行っていたお父さんはいつの間にか

私の目の前に来て喋りかけて来た


「あぁ、凄いことが起こるぞ!ナギ。

しっかりヨモギさんとお母さんに付いて行くんだぞ!」


と諭された。

ほんとに呆れる。

私の周囲のまともな人はお母さんぐらいなのか。


「それじゃ、ナギちゃん。私の指導の付いてきてらっしゃい!!」


ーーーーーーーー


2時間後〜


「はぁ...はぁ...はぁ...

もう話し方レッスンは終わりましょうよ。」


「こら。弱音を吐かない。アイドルは

常に''スターであれ'' 精神でいないと。」


「よもぎんまでお父さんに染色されちゃって...」


そもそも、話し方レッスンなんて意味不明であろう。

これがアイドルのなんの役に立ち、スター性に繋がると言うのか。


「あらら、お疲れのようね。2人とも。」


そこに現われたのは、漫画の世界から飛び出してきた程の美しさと凛々しさを持つ

私のお母さんだった。


「カエデさん。いまナギちゃんの話し方レッスンをしてたんですよ。」


「あら、話し方レッスンね。それはとても疲れるでしょうけど、一番大切なアイドルの基礎力だから頑張らないとね。」


「でも、こんなことやっても私がまだこの事務所に入るって決まった訳じゃないし...」


と言いかけると、何故かお母さんがグイグイ迫ってきた。


「ナギはこのスターライト事務所に入るべくして生まれてきたのよ。それに貴方だからこそ アイドルになれるのよ。」


「別に私より可愛い人とか70億人いるでしょ...?」


私はいま反抗期なのだが、お母さんのこの超越した美しいさを目の前にしてしまえば、

男なら尚更、女の私でさえ反抗しようともできない。


「なに言ってんの。ナギは守りたくなるほど可愛いじゃない。それにアイドルはスター性だからね。」


「また同じこと言ってら.....」


と又 呆れた。

やっぱり私の周りにはまともな人がいなかった。


お母さんは少し真剣な顔から切り替え笑顔で言う


「練習あるのみよ。成長してきたら私がナギの仕事じゃんじゃん取ってくるからね。今の内にビシバシ鍛えておくことね。」

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世界一ブサイクな私が世界一のスターになる話 生緑茶🍵 @gogotya55

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