第2話 プレゼントの中身

''''スターライト事務所に入れる権利!!'''


そのワードを聞いた途端、私は呆気にとられていた。

いくら実の娘だからといって面接も何も受けずに事務所に入るのはいかがなものか、

そもそもの話、私は''世界一ブサイク''なのに

アイドルになれても、人気が出る訳が無い。

いや、そもそもアイドルが成立しない。


だがお父さんは呆気にとられている私をそっちのけで話し始めた。


「ってことで、ナギには明日から早速

スターライト事務所に所属してもらいます。」


「ちょ ちょっと待ってよ。何勝手に決めてんの!?」


「嫌なのか?」


お父さんは不思議そうにこっちを見る。

何がおかしいのかと言わんばかりの表情だ。


「冗談でしょ?」


「まじだけど、大マジ。」


ジェネレーションギャップが酷いお父さんからこの言葉が出てきたことに驚きはあったが、それよりも事務所の話しは段違いだ。


「私...どうみたってアイドルになれないでしょ。だって...だって...こんな顔だから.....

世界一ブサイクなんだから!!」


と目に涙が少しかかりながら叫んだ。

怒るのと同時に、虚しくもあった。

それもその矛先はお父さんと言うよりも自分に向いていた。


だがお父さんはまだきょとんと不思議そうに

椅子に座ったままだ。


「ナギは可愛いじゃないか。

それも世界一。いや可愛いと言うより美しいに入るのかな?。お母さんと似て。」


私のお母さんも、まりんさんに劣らないほどの美貌の持ち主であった。

だからこそ、毎回疑問に思うのだ。

なぜ この美男美女から

こんなに惨めな ''世界一ブサイクな私''が生まれてしまったのか。


「やっぱり冗談でしょ。それに可愛いってそれは私のお父さんだから可愛い補正が入ってるんじゃないの!?」


「そんなことないと思うけどな〜。」


お父さんはいまだ 白々しい態度だ。

もっと真面目に話をして欲しいものだ。


「ナギ。約20年間アイドルを間近で見てきたお父さんから言わせて貰えれば、ナギは美しい。それにアイドルに必要なのは

''顔や美声ではなく、スター性''だよ。」


「スター性?そんなもん私にはもっぱらないじゃない。」


「何言ってんだ。ナギには育つととんでもなくなりそうな大きな ''スターの芽''があるじゃないか。」


確かに私にはとんでもない顔がある。

これがスター性だって言うのか。


「まぁ。当たって砕けろだ。ナギ

明日からお父さんと一緒に事務所に行くぞ!!」


と また、まりんさんの時の様に半強制的に

連れ去られたのであった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る