世界一ブサイクな私が世界一のスターになる話

生緑茶🍵

第1話 大きなスタートライン

レストランの中は、一寸先は闇と言うことわざが似合う程に暗い外と比べれば、とても明るく照らされている。


「はぁ...疲れた。」


そうやって、ために溜った言葉に表せない程の疲労感を口から吐き出しながら、

残った食器をひとつひとつ洗い流していく。


「あ、ナギちゃん。あとは私がやっとくから、先に帰りなよ。」


そう暖かく、語りかけてくれているのは、

ここ 和菓子(レストラン)の店長

八百万 茉莉さん 愛称・まりんさん

(やおよろず まり)

歳は、40を過ぎる様だがいつ見ても

その美貌は全く劣らない。

紫色に輝く上品な髪

人を惹きこむ黄金の瞳

すらっとしたモデルの様な身体


その美貌は若々しいと言うよりも、

色気溢れる良い女そのものだった。


「ありがとうございます。でも...まだ沢山あるので。」


流石に、こんなに溢れかえった食器をまりんさんだけに任せては置けない。


「なあに、心配するなって。ナギちゃんの親が家で待ってるんだろ?」


「それはそうですけど...。」


「ふふっ。まだまだ小さいな、ナギちゃんは。人を頼ることを覚えないとね。」


そうやって美しい満面の笑みを魅せられて、

半強制的に店の外に出された。


外はとてつもなく暗くて、自分の脚も目に映らない程のものであった。


そんな暗闇の中、慎重に歩き続けてやっとのことで家族の待つ家に着いた。


「ただいま〜。」


「あぁ。おかえり。」

そう返してくれたのは、

スターライト事務所(アイドル事務所)を立ち上げ、社長として働いている

私のお父さんの 上杉 ヒロム


いつもは、もうひとつ甲高いお母さんの声がするのだが、今日は何も無い。


「お母さんは?」


「あぁ、お母さんならまだ事務所で会議をしてる。ご飯作り置きしてるらしいから、電子レンジで温めて食べな。」


「ふーん。」


お母さん 上杉 カエデ

は、スターライト事務所の大きな大黒柱を担っている。


今後の事務所の動向の会議やらアイドルの指導やマネージャー、雑務など 様々なことをしている。


「ところで、ナギは明日 誕生日だよな?

お父さんとっておきのプレゼントを考えたんだ。」


そう言ってお父さんは満面の笑みをこちらに向けている。

まりんさんほどの美しさはなくても、お父さんもそれなりの美形をしている。


「とっておき?」


「あぁ、とっておきだ。」


何か嫌な予感がする。

実際、お父さんは歳の割にはジェネレーションギャップが酷くて去年の誕生日は確か

きりたんぽ を貰ったっけ。


そんな悪夢を思い出している時、

お父さんが口を開いて話した。


「もう言っちゃうけど、今年の誕生日プレゼントは.....


''''スターライト事務所に入れる権利!!'''''



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