最終話:このSFみたいな出来事は全部、俺の願望?

100年後の未来から来た女の子は、俺や俺に関わる周りの人たちも含めて

それぞれの運命を変えた。

そして俺の時代で桃は俺と結ばれた。


俺が自分の未来を描いたとおり、桃はこのままここで生きていくのか?


で、もし子供ができたとして俺の時代で育てても桃の目的は達成されない。

桃が男の子を連れて100年後に帰らなきゃ意味がない。


もうすでに桃の時代は大勢の子供が連れ帰られてるかもしれないことを

思うと、無理に100年後に帰る必要はないのか?。


桃がどっちの時代を選ぶかは彼女次第。


でも俺が思ったとおり俺の時代には桃は存在しないんから正式な結婚は

無理だろう。

だけど俺たちに法律なんて関係ないし・・・。


逆に俺が未来に行ったところでそれは同じこと。


桃はもし俺たちに子供ができてもこの昭和の時代に残るって言った。

この時代が好きなんだそうだ。

このレトロでノスタルジックな時代が・・・。


結局俺と桃は、猫屋敷の別荘を借りて細やかな結婚式を挙げた。

猫と澪と数人の親しい人たちに祝福されて結ばれた。

そして、俺と桃は沖縄に新婚旅行に出かけた。

肝心のミカンの面倒は澪に頼んだ。


向こうでレッタカーを借りてホテルのアミューズメントとリゾートを楽しんだ。

桃の時代では沖縄は日本から離脱して独立国家になってるんだそうだ。


だから桃は沖縄に来ることができて喜んだ。

沖縄はカップルで来るのはベストなリゾート地、普段でもラブラブな

気持ちでいるのに、この環境はより一層桃への想いを募らせた。


だから、このまま沖縄に移住して来ようかと思った、

カメラマンである俺にとって本拠地は日本中どこでもいいわけだし。


「あのさ、私がこなかったら大輔、澪さんと結ばれてたと思う?」


「あ〜それは、たぶんなかたっと思う」


「え?澪さんとは上手く行く自信なかったの?」


「どうなんだろ・・・それもそれぞれの運命だろ?」

「俺はたぶん、桃がこなかったら、いまでも一人でいたと思うよ」

「でも、幸せは向こうからやって来たからね」


「って言うか俺には分かってたから・・・」


「分かってたって?・・・なにが?」


「ずっと遠い未来から俺のために俺への愛を引っさげてひとりの

女神がやって来るってことがさ」


「またまた・・・私が現れた時大輔、鳩が豆鉄砲食らったみたいか

顔してたよ?」


「それは、やって来た女神が超可愛かったからだよ」


桃は嬉しそうに笑った。


その後、俺と桃の間に、めでたく男の子が生まれた。


その子の名前は「青山 未来あおやま みらい


それを機に俺は桃と未来を連れて沖縄に移住した。

あ、ミカンも連れてね。

無機質なビルや、賑やかしい露地裏で子供を育てたくなった。


家族で環境のいいところで暮らしたかったからね。

そのうち子供を連れて桃の時代に里帰りすることもあるかもしれない。


桃には分かったふうなことを言ったが、まさか未来からやって来た子と、

こんなことになるなんて誰が想像できたよ。

当の本人の俺でさえまだ信じられないでいるって言うのに・・・。


ある朝目覚めたら、桃がいなくてやっぱり俺一人しかいなくて、寂しい部屋で

孤独に暮らしてたりして。

このSFみたいな出来事は全部、俺の願望だったりして・・・。


おしまい。






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未来からこんにちは。*押しかけ彼女と俺の憂鬱* 猫野 尻尾 @amanotenshi

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