第9話:誰も自分の未来は見えない。

その後、俺と桃は、何事もなく意見が食い違うとか、揉めるとかって

こともなく少しずつお互いを理解し合っていた。

すこぶるいい感じで。


でも桃目当てに猫屋敷が頻繁に俺のアパートを訪ねて来るようになった。


まったく迷惑な話だが・・・今更、桃のことを彼女だって言えないままだ。

こんなことならスーパーで会った時、俺の彼女だってはっきり言って

おけばよかった。


よく考えたら妹にしておくメリットなんかどこにもないんだ。

もし猫のクチからみおにバレてもその時はその時のこと。


嘘や誤魔化しはよくない・・・絶対そんなのは悪い結果になって俺の元に

帰って来る。

自分が撒いた種、自業自得ってことになる。


人に気兼ねして、なんで桃を妹にしておかなきゃいけないんだ・・・。

いっそ猫にはホントのことを言ってしまったほうがスッキリしそうだ。

そうじゃないと猫の行動はエスカレートしていきそうだし・・・。


ある日、桃が言った。


「私、どうなっちゃうんだろ?」


「なにが?どうなるって?」


「大輔「には彼女さんがいるし・・・私は片想いのまま終わるのかな?」


「どうしたの?私は負けない、って言ってたじゃん」


「勝つも負けるも、これって大輔の気持ち次第でしょ」


「たしかに、そうだな・・・責任重大だな・・・」


「本当いうと僕にも今の自分の気持ちが分からない時があるよ」


彼女、澪がいるのに桃に魅かれてる自分もいる・・・。

彼女がいるのに他の女性に思いを寄せるなんて・・・それって 完全に浮気

じゃないか?

まさか自分が、そんな気持ちになるなんて思いもしなかった。


「私が悪いのかな・・・」


「桃は悪くないよ・・・」


「それなら、ふたりの女性を天秤にかけてる俺が一番悪いんだと思う」


「でも、その原因を作ったのは私でしょ?」


「人はね、その時はベストだと思って起こした行動でもその時の条件や環境に

よって、やむなく思惑が変わってくることだってあるんだよ」

「誰も自分の未来は見えないからね・・・」

「見えたら過ちは犯さないと思うけど、でも思い通りにいかないのが人生だよ」


「そうだね・・・考えてもしたかないね」


「そうだよ・・・きっとなるようになって行くと思う」

「俺もちゃんと答え出すよ・・・」

「桃が向こうに帰れない以上、この時代で生きてかなきゃいけないんだから」


「どう気晴らしにまたデートしようか?」


「うん・・・いいねデート」


そのうち、俺は桃か澪、どちらかを選ばないといけない時が来るだろう。


とぅ〜び〜こんて乳。



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