第37話
煉獄の奥深くに住む鬼は、あらゆる異能を駆使してくる。
ストーリー設定上の煉獄は管理局にプールされた異能構成データをもとにそれぞれの鬼が構築され、対人戦を含めた超常存在との戦闘訓練を行うシミュレーター装置、という扱いになっている。
そんな場所での戦闘は結構しんどくて、同じ能力を使う鬼は滅多にいないし、オーラ技能や各種異能を使いこなしてくるので戦闘に限っての難易度としては最上位をもしのぐ。何なら分類的にはエクストラステージ扱いである。
瓦礫の中、シスコは考える。
早くここを出てユイに会いに行きたいなぁ、と。そんで、お泊りなんかしてちょっとエッチなハプニングでもあればいいなぁ、と。
ごぼり、とシスコの口から大量の血がこぼれ落ちその胸元を赤く染め上げていく。血の流れ落ちる先、胸椎の下あたりは既に赤黒く染まっており、腹部には鉄骨が突き刺さっている。
「ああ、もう指先にちからはいんないや」
独り言をこぼしたつもりが、声はかすれ、喉の奥からごぼごぼと血の泡立つような音だけがでる。どう見ても致命傷。
これで何度目だろう。
シスコは自身の周囲に散らばる鬼の残滓と、シスコ自身を打倒した狂相の鬼を見る。鬼は満足げにシスコを見下ろすと、硬く握り込んだ拳をシスコへと叩きつけた。
死ぬといつもそうだ。暗闇と浮遊感がしばらく続いて、それから生臭い風がやってきて、目を開ければまたどこかの荒れ地か廃墟の中か。
いわゆるリスポーンなのだが、この際、周囲に鬼どもが居ないのがせめてもの救いだ、とシスコは最近思うようになった。
行き詰まりを感じつつも、シスコには進む以外の選択肢が残されていない。
一度だけ、無理やり押し通ろうとしてその時に遠目に泉を目にした。それ以来迷うことなく進む方向は定まっているのだが、泉に近づけば近づくほど鬼の攻勢は勢いを増す。
意地でもそこにたどり着かせないようにするかのように。
最初の頃、生体エネルギーを扱えるようになり、システムとの融合を果たした自分が倒されたのは偶然だと考えていた。
けど、それこそ思い上がりでシスコ自身がべらぼうに強くなっていたわけではなく、ここに挑むためのスタートラインにようやく立てたのだ、となんとなく理解してしまった。それ以降は無謀だと思われる立ち回りを改めて、修正を加えつつ慎重に進むようになった。
だが、それでもまだ足りないのだ。
なぜなら……。
(よっしゃ、今度は一匹だけだ)
シスコは赤茶けた岩の陰から荒野を歩く鬼を見つける。それはこの煉獄内でも最も強い種族の鬼。そして、いろいろと人間臭い動きをするので本当に人と戦っている気にさせられるヤツでもある。
シスコは気配を消して鬼の死角へと移動し、標的が立ち止まり辺りを見回した瞬間、跳躍し延髄へ鋭い蹴りを放つ。渾身の、と付け加えてもいい一撃は、シスコの気配なのか、微細な風の動きなのか、とにかく違和感を覚えた鬼が首を傾けることで打点がずれた。
思わず舌打ちを漏らしたシスコは着地と同時に地面に転がり間合いを取る。
シスコがそのまま連続で攻撃をしようとしたならば鬼が振り返ると同時に、どこからともなく取り出した大刀によって胴体が宙を舞っていたことだろう。
鬼は首を撫でシスコを見下ろす。
この鬼よりも一つ下のランクの鬼がもっと手前のエリアに居るのだが、その鬼相手ならば十分に致命傷に足る威力だった。にもかかわらずシスコの目の前の鬼は首を痛そうに撫でるだけで、然程のダメージを受けたようには見えない。
「だから嫌なんだ、コイツら……」
シスコは吐き捨てるように言って身構え、一気に踏み込む。
このエリアの鬼は厄介だ。なぜなら丈夫さもさることながら、戦っていると、血の匂いか闘気か、とにかく何かに惹かれてわらわらと集まってくる。
できることなら3分以内の決着が望ましい。
望ましいのだが、しかし、それをさせてくれるほど目の前の鬼は弱くはない。むしろ油断すればシスコは簡単に殺されてしまうだろう。
シスコは逸る気持ちを押さえつけ、間合いを取り直すのだった。
「くっそー、またか……」
灰色の曇天を見上げつつシスコは呟いた。
今回はいけると思ったんだけどなぁ、シスコはぼんやりそんなことを考える。だが、今回はいつもよりも他の鬼どもが集まってくるのが早かった。凶悪な殺意の塊の集団は、明らかに連携など考えていなさそうなくせに、どういうわけか非常に高度な連携でシスコを追い詰める。シスコにも緊急時用の切り札があるのだが、それを使っても結局はその場しのぎにしかならない。
煉獄に来たての頃に戦っていた小鬼どもは馬鹿みたいに数が多いものの、連携も何もない雑魚みたいなもので、今となっては可愛いマスコットのようにさえ思えてくるのだ。マスコットというには顔面に宿る狂相は実に醜悪であるのだが。
エリアの様相が変わるごとに徐々に強くなる鬼だったが、この最後のエリアと思しき荒れ地ではいきなり強さが跳ね上がっていた。
「はぁ、あの二人、大丈夫かなぁ」
シスコはなんとなく、同じような状況に置かれているだろう二人の事を思い浮かべた。
どこまでも続く曇天の元、荒れ地のただなかに立ついぶりーは地平の向こうから土煙を上げて疾走し向かってくる鬼どもの集団を睨みつける。
シスコならば間違いなく逃げの一手である。が、いぶりーは違う。微動だにしない。双眸には受けて立つという意志が宿っている。
「来ましたわね。今日こそは皆殺しですわ!」
いぶりーの体内を循環するオーラが膨れ上がりその密度と質を急激に高めてゆく。そして、いぶりーを中心にふわりと黄金の風が広がっていく。
漠寂とした荒れ地において輝くその光は美しく目を惹かれるものだ。
そんな美しい光を含むエリアに先頭の鬼が触れた瞬間、全身が炎に包まれる。肺をも焦がす炎であるが、それでも鬼は止まらない。他の鬼どもも足を止めることなくいぶりーに向かって疾走する。
先頭の鬼は燃え盛るまま大きく跳躍し、両の手を組むとハンマーのようにいぶりーの頭部めがけて振り下ろす。しかし、その拳は空中に現れた腕によって受け止められ、そして爆炎と共に吹き飛ばされる。
その瞬間、走り間合いを詰めていた鬼が大ナタを手に振るうが、黄金の風が集約し灼熱の刃となりその胴を薙ぎ払う。切り払われた部位は表面が炭化し、熱に耐え残った組織も徐々に熱によって燃え始める。
「さぁ、次はどなたですの!」
殺到する鬼どもに向けていぶりーは吠える。
ごろーはあてどもなく歩いていた。
行く先はなんとなく、敵が多い方に行けばゴールがあるだろう程度の感覚だ。
うねるような、赤茶けた大地、その稜線をたどるように進めば、下った先には鬼の集団がまばらにだが、存在している。
「みつけた」
つぶやいたと同時、全身に
獣の如く、獰猛に唸るとごろーは鬼へと向かって走り出す。
一キロ以上離れたその場所へ向かって一気に駆ける。
その瞳には狂気に染まったような暴力への渇望が宿っていた。
シスコの心配をよそに二人は実に順調である。何なら戦闘に関しては楽しむ余裕すらあったりする。
考えてみれば当たり前の話で、探索や観察を前提として組んだシスコの能力よりも、最初から戦闘に用いるつもりで組まれた能力では差があるのは当たり前だ。
シスコが二人と違う点はと言えば、見えることだ。
最奥部の鬼、シスコが真鬼と呼んでいる鬼がいる。
某平成ライダーのスーツのようなマッシブな見た目の鬼で、その膂力は凄まじく、耐久力も高い。幾度も戦闘を繰り返し、現時点で最も強く、そしてシスコの知る限りこの先、泉へと通じるエリアにおいて真鬼を超える強さを持つ敵もいないことからそう呼んでいる。
シスコの一撃では一撃で倒すことも叶わず、倒し切るのにどうしても時間がかかってしまう。全力を常に出し続けなければならない相手。
そんな相手に単体相手とはいえ善戦し続けられるのはシスコの異能が『眼』を強化するもので、シスコが鬼のオーラの流れを視、そしてその流れや強弱から次の行動を事前に知ることが出来るからだ。
当然、見えることと敵の攻撃を避け続けることは同義でもなければ容易いことでもない。最初に真鬼と遭遇し始めた頃は解っていても避けられないばかりで、接敵することを避けていたほどだ。
しかし、様々な鬼と戦うことで漸く相対できるようになってきた。
だけど、一撃の破壊力が足りないのは変わらないんだよなぁ。
足りない足りないと考えつつも、それでも前に進むことを辞めない。
シスコに転機が訪れたのは、普段と変わらない、偶々訪れた遭遇戦だった。
赤茶けた大地と所々積み上がった瓦礫の中から黒煙と赤い火の粉がくすぶり舞い上がる。
分厚い暗雲が重たく頭上にのしかかる中、それでもシスコは泉へ向かって歩を進めることを諦めない。
ゆっくりでも確実に進んでいる。以前よりも戦闘時間も、同時に相手取れる数も増えている。その事実がシスコに後ろ向きの思考をさせない。
その日もそうだ。首筋に嫌な感覚を受けて、
「フッ」
素早く
しかし、与えられたダメージは少ない。
数えることも馬鹿らしくなるほどの会敵。
暴力は突然やってくる。
今回はどこかの瓦礫の山に登っていた個体が偶々シスコを見つけたらしい。
文字通り空中を跳んで不意打ち気味に背後から拳を繰り出してきたのだ。
それに気が付けたのは、具体的には背に感じた違和感と、少し前に風の流れが変わって匂いを感じ取れたことによる。
いなした腕を支点に真鬼を押し出し、シスコ自身も大きく間合いを取る。
(どこかから見られてたのかな)
真鬼がよろけた体を素早く立て直し、そのまま大地を蹴ってシスコへと肉薄する。
今の、現時点でのシスコはカウンター狙いを主なスタイルとして立ち回っていた。
タイマンなら視覚を強化しさえすれば、真鬼クラスとの戦闘速度に慣れたシスコにとって後の先を取ることはそう難しいことではない。
真鬼は右上段から手刀を袈裟に振り下ろすが、同時、体側から隠蔽された生体エネルギーがシスコの右後ろ、退路方向へと広がる。
(歪み方からして
シスコは手刀をすり抜けるように右前、真鬼の左体側へと抜ける。同時、真鬼の伸ばしていた生体エネルギーが霧散し逆手、左手がシスコの細腕を掴むように開かれる。見越したシスコは更に体を倒しその下をゆく。
シスコの転機の瞬間はこの一瞬、この時の気まぐれがもたらした。
通り過ぎる太く厳つい腕を見上げながら、シスコは真鬼の腕に薄っすらと走る奇妙な光の糸を見た。それは血管の様に腕を巡っており所々節の様に収束する場所がある。そんな節をシスコは崩れた体制のまま打ち抜いた。
普段は絶対にそんなところを狙わない。なぜなら、状況を有利にする動きは他にもあるから。だけどこの日は違っていた。ほんの些細な気まぐれ。普段とは違う動きをしてみようという気まぐれが変えていた。
体重も乗らない、牽制にすらならない一撃。
むしろ、打撃の反動で体制を崩し背中から地面へと転がる。結果として想定よりも素早く間合いを開けられたが、流れによっては追撃を喰らってもおかしくはなかった。
インパクトの瞬間、シスコは何かが割れるような音を聞いた。例えるなら凍った水たまりを踏んだ時のような。
素早く膝立ちに体を起こしたシスコは、真鬼が右腕に生体エネルギーを集中させて地面を上段から大振りに叩きつけるのが視界端に移り大きく後ろに跳び退る。
地面は砕け、波紋の様にひび割れが広がり足場を壊してゆく。
(着地狩り狙いッ……)
飛び上がったシスコに合わせるように真鬼は弾ける土くれを無視して一気に間合いを詰め、振りかぶった右腕でシスコの足を払う様に足元を狙う。
同時、テンポラリーから武装Ⅱ『ウォーハンマー』を起動、伸びたリーチで肘の内側を狙う。
狙いは、……肘の内側にもあった、血管の様に巡る光の節。
(あれが何なのか確かめる)
力の籠ってない一撃、意味を成さない一撃。
そうなるはずだった。
ウォーハンマーのピックの先が節を打ち抜いた瞬間、再びの何かが割れる音。真鬼の振り抜いた腕は、勢い減じたものの止まらない。予測通りの結果をもたらす。
足を払われたシスコは頭部から地面に落ちるところを体を捻って転がることで、打点をずらし距離をあけそのままの勢いで姿勢を立て直す。が、それでも勢いのまま足元が滑る。
舌打ち一つ。
シスコの踏ん張りが効かないことを予測していたのか、視線が切れた合間に間合いを詰めていた真鬼がシスコを蹴り上げる。
「視えてるってのッ!」
再びウォーハンマーのヘッドが、真鬼の右足がシスコの胴を捉える寸前、膝頭、その少し上、光の節を打ち抜く。
(まただ、あの音……それに)
ハンマーの勢いに体制を崩した真鬼が体を右によろけさせ、そして、踏ん張れずに膝を突く。
(何だ?)
シスコは一瞬演技を疑う。
真鬼クラスになってくると時折、相手の油断を誘うためにわざと形成が不利な振りをして見せることがある。
しかし、ゆっくりと立ち上がる真鬼は、明らかに右足に力が入っていない。
シスコの瞳には、真鬼の両腕の肘から先、右ひざから下にエネルギーが行き届いていないのが見て取れた。
真鬼は明らかに生体エネルギーをその先へと満たそうと体内で操作しているが、しかし、その先へは動かない。
何はともあれ、
「狙い目じゃん!」
一足に間合いを詰める。
迎え撃つは両腕を振り回す真鬼。腰も入っていないその動きには先ほどまであった体術の巧みさも、触れただけで死を招くような予感も微塵も感じられない。
物は試し、とシスコは構えたウォーハンマーで胴を水平軌道で狙うフリをして相手のガードを誘う。腕が降りる瞬間、間合いを外し空ぶらせ、手首を返して先端を入れ替え石突で突きを放つ。
平時であればその狙いはありえない。
しかし、今この状況においては何故か真鬼の肘から先は動かない。
ならば狙える。
胸部を走る光の筋、その節。
肉体に数ある節の中でも最も大きく、最も強い輝きを持つその節を穿つ。
ひと際大きい何かが割れる音。
同時、真鬼の全身を覆っていた光のラインが消え、そしてそのまま膝を突くこともなく前のめりに地に伏した。そのまま真鬼の体表は割れはじめ、黒い霧となって砕け消えてゆく。
「え? これで終わり?」
シスコは自身が引き起こした結果ながらも、あっけない結果に暫く勝利したことを実感できないでいた。
なんならシスコの気配を感じ取った他の真鬼が集団で襲撃を仕掛けるくらいには隙だらけで呆然としていた。それほどの衝撃。
「つまり、おれは気脈を視ることが出来て、なおかつそれに干渉することもできるのか。考えてみれば以前から見えてた気もするけど、干渉できるなんて考えてみた事も無かったや」
あれからシスコは浅層に戻って比較的弱い鬼相手に気脈で何ができるかの実験を繰り返していた。
そうして得られた結論を敢えて口に出して整理する。
その干渉も攻撃的な意思で干渉すれば破壊できるし、破壊以外の目的で触れることでその部位の能力を高めたり、痛みを誤魔化したり様々に効果を得ることが可能なことも分かった。
一度自身の胸にある巨大な節を破壊したが、その時は一瞬にしてブラックアウトし、そして気が付いたら別の荒野でリスポーンしていた。逆に活性化させると何時間も興奮状態が続いて、それが終わると暫くは倦怠感と共にオーラの出力が修業始めたての頃かそれ以下に落ち込んだ。
兎も角として、そこからシスコの攻略速度は一気に上がった。
真鬼であろうと何であろうと、気脈が走っている限り無力化できるのだ。
体術を駆使して相手の懐に飛び込んで、崩し、防御をこじ開け致命の一撃を叩きこむ。或いは両手足を徐々に無力化させていって安全を確保し殺す。
できる限りのパターンを試しながら、幾度も戦闘をかさね、自身の勝利パターンを掴んでいった。
そうして気が付いた時には、シスコは泉の畔に立っていた。
この負の空気に満ちた煉獄の中にあって清廉な場所。
湿り気を帯びた緑の香り。場違いにも思えるほどの輝かんばかりに鮮烈な緑に囲まれ、湧き出す水は透明で、淀み一つない泉は薄っすらと輝きすら宿している。
シスコは沸き上がるようにして突然現れた強烈な渇きを覚え、無意識のまま泉の畔に片膝を突くと血と垢に塗れた両手にも構わず水をすくい口へと運んだ。
たったひと掬いの水を口に含むと、爽やかな冷たさとこれまで味わったことのない透明な甘さに意識が研ぎ澄まされる。そして、嚥下すると共に全身にその冷たさが広がっていくのが感じられる。冷たいのに熱く不可視のエネルギーが肉体に溶けてゆく。
まるで肉体を覆うオーラの質が一段階引き上げられたかのような、そんな感覚。初めてオーラを知覚し操る術を知ったときのような万能感が沸々と沸き上がる。
そんな感覚に浸りながら立ち上がると、周囲の光景は徐々に白い光に溶けてゆく。
気が付けば、久方ぶりに訪れるリザルト空間に立っていた。
『クリアタイム:512日11:34:11.04』
『死亡回数:1024回』
『討伐総数:20424体・詳細はタブを開いてください▼』
『総合評価:D』
『クリア報酬:―』
(うげぇ、死亡回数そんなにいってんのね。一日平均二回は死んでるけど、出だしと最後の方はほぼ死ななかったから中盤で結構死んでるってことか。多い時確か二桁いってたし……)
反省しつつも、総合評価が最低の『E』でなかったことにほっと胸を撫でおろす。
そして、少しばかり期待していたもののクリア報酬がブランクなことに肩を落とす。
(でも、これで確実にクリアに近づいたし。ユイに再会したらきっとおれが強くなってることにびっくりするだろうな)
シスコが頬を緩めると同時、リザルト空間は消え周囲が再び違う像を結び始める。
白い空間に徐々に緑が混じり始め、次第に歪みは全周に広がりピントを合わせるようにして鮮明な草原の姿を現す。
シスコの背後には、一年と四か月も前に旅立ったゲートがある。
そして、シスコの視線の先、下草が刈り取られ、ティーガーデンのような空間が出来上がっていた。旅立つ前には無かった洋風の庭にでもありそうな空間には花崗岩から切り出したテーブルセットに腰を下ろし、歓談しているいぶりー、ごろー、キヨカ三人の姿があって、その後ろでは穏やかな表情の黒龍が寝そべって三人を見守っていた。
そんな三人と一匹に向かってシスコは、
「なんだ、おれがビリッケツかよ」
苦笑交じりに声をあげ、足取り軽く寄っていくのだった。
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