171 塔のダンジョン ③

157話ですが、アンデッド軍団からカード化したスケルトンを1656枚から991枚に変更いたしました。


素で同じカードは千枚までという設定をど忘れしていました。

元々9枚持っていたので、入手数は991枚となります。

他は変更ございません。


教えてくれた方ありがとうございます!

<m(__)m>

2024/08/11

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 現在の階層は、おそらく六階層目だと思われる。


 現れるモンスターはDランクのスケルトンソードマンと、Eランクのハイスケルトンだった。


 既に見知ったモンスターだっただけに、少々残念だ。


 しかしスケルトンソードマンは458枚という半端な数なので、なんとか500枚まで増やしたいところである。


 なので出来る限り、スケルトンソードマンをカード化していく。


 ついでに案内役としても活躍してもらい、順調に進んでいった。


 ちなみにこの階層にも宝箱は無く、強敵もいないらしい。


 おそらく、これは上の階層も同じ結果になりそうな気がする。


 そしてジョンたちも頑張って戦い、経験を積んでいく。


 スケルトンソードマンは、ボロく質が悪いものの、剣と革鎧をまとっている。


 なので同じランクだとしても、ハイゾンビよりやっかいだ。


 無手のトーンとジョンは、苦戦を免れない。


 特にジョンは、斬られた時のダメージが大きかった。


 トーンは木なので多少の斬撃に耐えられることに加え、回復手段が豊富だ。


 しかしジョンは生身なので、斬られれば当然出血してしまう。


 またアロマのヒールアロマは即効性に欠けるので、連続で斬られるとやられかねない。


 これは時間を潰している間に見つけた、アレ・・を渡した方がいいだろう。

 

 俺はそう思い、ジョンにとある武器を渡す。


「ジョン、これを使ってみてくれ」

「うき?」


 そうして俺がジョンに渡した武器は、これだ。


 

 名称:魔導ライフル銃(プロトタイプ)

 説明

 ・魔力を使用することで、魔力弾を発射する。

 ・魔力を一度に解放するバーストモードに切り替え可能。

 ・一定量の魔力を蓄えることができる。

 ・周囲から魔力を少しずつ収集する。

 ・装備中銃適性を得る。

 ・適性があればスキル【ショット】【サイレントショット】【三点バースト】が使用可能になる。

 ・上級鑑定妨害を自動で発動する。

 ・この銃は時間経過と共に修復されていく。



 この銃はここに来る前に、ストレージを整理していた時偶然見つけたのである。


 そう、これはツクロダ撃破後に、ツクロダの部屋にあったものを適当に収納した際に紛れ込んでいた物だ。


 あの後色々あったせいで、収納したことすら忘れていた。


 正直、ぶっ壊れ性能である。


 確か量産型の能力は、こんな感じだった。



  名称:量産型魔導ライフル銃

 説明

 ・魔力を使用することで、魔力弾を発射する。

 ・中級鑑定妨害を自動で発動する。

 ・登録者以外は使用できない。

 ・登録者が死亡した場合、この武器は自爆する。

 ・登録者から一定以上離れた場合、この武器は自爆する。

 ・製作者が死亡した場合、この武器は自壊する。



 おそらく登録者や製作者云々の効果を無くし、その代わりに強力な効果を付け加えたのだろう。


 いや、プロトタイプなら逆なのか。量産型にする上で、能力を削ったのだろう。


 しかし不思議なのは量産型と比べて、なんでプロトタイプがここまで強いのだろうか?


 ツクロダはロボットを作るくらいだし、プロトタイプにロマンを求めたのかもしれない。


 あとあの戦いのとき、何故この銃を使わなかったのだろうか?


 コレクション的な意味合いが強かったのか?


 ツクロダは自分で戦うのが好きなタイプじゃなかったし、ツクロダロボの時が例外なのかもしれない。


 それか俺のことを舐めており、必要ないと考えていた可能性もある。


 まあ今更ツクロダが何を考えていたなんて、知りようがないのだが。


 事実として、ツクロダはこのプロトタイプの銃を使わなかった。


 それが全てだろう。


 ちなみにツクロダの部屋にあったものは、他に目ぼしい物はほとんどなかった。


 ほぼ全てツクロダの死と共に自壊しており、また仕掛けが施されていたのか修復が無効化されたのである。


 なので完全にゴミと化したそれらは、拠点近くの亀裂に投げ捨ててきた。


 ついでに、ストレージ内にあった価値のない不要な物も大体捨てている。


 これでだいぶ、ストレージ内がスッキリした。


 さて、話を戻すが、このプロトタイプの魔導銃。俺の所持している装備の中で、一番性能が高いだろう。


 俺が使っても良かったのだが、俺にはカオスアーマーや双骨牙、瞬弓など使えるものが多い。


 その中にこの銃を入れても、使用頻度が低くもったいないのだ。


 なのでここはあえて、ジョンに渡すことにしたのだ。


 ジョンの上半身はサルであり、モンスターの中では銃を使うのに適している。


 またジョンには今後、パーティのリーダーポジションに収まってもらうつもりだ。


 なので指示を出しやすいように、中長距離で運用可能な銃はピッタリだった。


 ちょっと強すぎる武器な気もするが、上手く使ってくれるだろう。


 そういう訳で俺は、ジョンにこの魔導ライフル銃を渡した。


 俺はジョンに使い方を教えると、早速現れたハイスケルトンを撃たせる。


 狙いは、魔石の収められている頭部だ。


「うきっ!」


 ジョンは魔力を込めると、狙いを定めて発射した。


 装備中に補正のかかる銃適性を得るとはいえ、初めての事には変わりない。


 初弾は、あっさり外れてしまう。だが、続く二射目は見事に命中。

 

 ハイスケルトンの頭部は、それにより弾け飛んだ。


 凄いな、威力もかなり高い。


 これはもしかすると、Cランクどころか、Bランクのモンスターにも十分通用するんじゃないのか?


 流石ツクロダの神授スキルによって、創り出された銃である。


 鬼に金棒ならぬ、猿に鉄砲という感じだ。


 すると脳内に、何故かふざけて猿に銃を渡すアフリカ人の映像が浮かんできた。


 ?


 一瞬で消えたが、今の映像はいったい……。まあ、気にしなくてもいいだろう。


 その後、スキルも使用させてみた。


 ショットは、威力と射速の上昇。サイレントショットは、無音での通常発射。三点バーストは、ショットを三連続で発射するスキルだった。


 魔導銃は単発式なので、三点バーストがより強く感じる。


 またバーストモードに変形させてみると、砲身が伸びてスコープと二脚が現れた。


 例えるなら、アンチマテリアルライフルだろうか。


 生活魔法の魔充で魔力を少し補充させたあと、ジョンにうつ伏せで構えさせ、撃たせてみた。


「これは……すごいな」


 すると命中したモンスターはもちろんの事、周囲も巻き込んで爆発を巻き起こす。


 もし魔力をフルで魔充していたら、大変な事になったのではないだろうか?


 しかしこのモードは負担が大きいのか、魔導銃は元の形に戻ったあと、しばらく撃てそうにはなかった。


 銃口から煙が絶えず漏れており、全体が熱くなっている。


 これだと、フル魔充で撃つと銃自体が壊れそうだな。


 その時修復可能かは分からないし、本当にどうしようもないとき以外は、止めておこう。


 一応修復を発動してみるが、バーストモードの反動で壊れたわけではないのか、効果が無かった。


 だがそれから十数分後、魔導銃は再び撃てるようになる。


 バーストモードは、普段使いするものではなさそうだな。


 正に、必殺技という感じだ。ツクロダのこだわりを感じる。


 まさか、この反動中の発射不可状態も、こだわりなのだろうか? なくはない。


 まあ、それでも強いことには変わりはないので、このままジョンに使わせることにした。


 するとやはりというべきか、ジョンたちの戦闘時間がかなり短縮される。


 トーンが壁になり、そのスキマからジョンが撃つ。サンも抜けてきそうな相手を的確に狩っていく。


 アロマも常にトーンへヒールアロマを発動し、リラックスアロマやリフレッシュアロマで集中力や精神面でのコンディションを整えた。


 これは、パーティの完成度がかなり高くなってきたな。


 おそらく今であれば、ノーブルゾンビとの戦いでも勝利できるだろう。


 それから罠発動係のスケルトンたちの頑張りも加わり、俺たちは六階層目も突破した。


 次は、七階層目である。


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