勝負の行方(6)
翌日、少女マンガ編集部では、朝のミーティングで宮本副編集長は、昨日の夢先生宅での出来事を編集者たちに話し。編集者たちは驚いていたが、このことについて何も反論しなかった、というか、反論できなかった。
この時、宮本副編集長の隣にいた滝沢編集長は、あの宮本副編集長宛ての手紙やアリスの手紙、メールの内容を社長から聞き出し、知っていた。
アリスは、あの手紙、メールの件を社長に口外しないように口止めをしていた。しかし、滝沢編集長としては、社長の真意が知りたかった。その想いが強すぎて、社長に食ってかかり。滅多にないその行動に社長は口を開き、滝沢編集長に全てを話した。
この宮本副編集の件は、出版社中に広まり。他の社員たちも驚いていたが、この結果に対し誰も反論できなかった。そして、漫画家が編集者を指名できる特例がある、ということ知り。この出版社では、初めてのことだった。
夢先生の担当編集者は、社長の承諾を得てアリスに決まった。しかし、アリスは、テストはテストだと言い。
「宮本副編集長、私は必ず、超一流の編集者になってみせます」
「そうね、そうでないと私が困る。なんのために身を引いたのかわからなくなる。私以上の働きをしてもらうからね、覚悟しなさい」
この時、宮本副編集長は、アリスが超一流の編集者になれるかわからない。ただ、夢先生にとっては、超一流の担当編集者になるのは間違いないと思っていた。
本日から、アリスは編集者として1ヶ月間のテストが始まった。ある意味、もうすでにテストは始まっているが、いかなる評価が下されるのか。
漫画家と編集者は、一緒になって漫画を作り上げていき、2人3脚と言われている。この点は、夢先生とアリスは問題ない。息がピッタリ、考え方も一緒。しかし、それでは、問題点を指摘することはできない。
しかし、その点は大丈夫。アリスの目は客観的であり、読者と同じ目線で接する。そして、異世界を信じる者同士の意見交換が半端ない。ここが、これからの異世界漫画の新しい切り口になる。こうしてアリスは編集者として仕事をこなしていき。そんな中、アリスの企画、『週刊少女ドリーム』復活、3ヶ月間の奇跡が採用することになり。
宮本副編集長は、アリスの勤務態度をチェックし、独自の査定をしながら、夢先生に対する姿勢や編集者として技量を見ていた。
アリスは編集者としてテストを開始し、1ヶ月が経ち。本日、その評価かが下される。
アリスは編集者としてここで働き、他の編集者たちも刺激を受けていた。担当を変えられる訳にはいかないと。
夢先生から、宮本副編集長宛てに1通のメールが届き。その件名には、テストの評価の件と書かれていた。
アリスさんは合格です。宮本副編集長、6年間ありがとうござました。本当に感謝しかありません。今以上の面白い漫画を描きます。これからの私たちを見守ってください。よろしくお願いします。
私にとってアリスさんは、超一流の編集者だと思います。しかし、ライバルにも見えます。原作アリス、原画夢のかなよ。そんな絵も浮かんだりします。
メールの内容は以上、どこかあっさりとしていた。
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