勝負の行方(5)
2通目の手紙を受け取った夢先生は、手紙の返事をメールで送り。そこには、この勝敗を決める内容が書かれていた。
アリスさん、2通目の手紙を読みました。正直、驚いています。
まさか、私と同じ、異世界の存在を信じ、異世界を探し出すことを夢としている方に会えるとは思いませんでした。
私の周りには、そんな人はいません、バカにされます。でも、宇宙人はいるって言うんですよ。それって、おかしくないですか。こことは異なる世界と一緒だと思いませんか。異世界は別物だと言いますけど、なんか悔しいですよね。
ドアを開けたら、そこは異世界だった。もしかしたら、地球以外の星と繋がっているのかもしれない、そう思いませんか。
私は、この手紙を頂き、嬉しくて、嬉しくて、仕方がありません。
異世界は存在する。超能力もタイムマシンも存在する。妖怪はいる、幽霊もいる、宇宙人もいる、透明人間もいる、魔法も存在する。全く私と同じ考えです。
私は、アリスさんと一緒に異世界を探したい。一緒に仕事がしたい。心からそう願っています。
私は、アリスさんを一度見かけたことがあります。私が専属契約した日、目を輝かせ、いろんな編集者と話しをしていたことを覚えています。あの目の輝きは忘れていません。 あとで知ったのですが、編集長の娘さんだと知り、将来の夢は編集者になることだと。
しかし、凄いですね。ネタの山って感じで、非常にありがたいです、参考にします。いや、一緒に漫画書きませんか、と思いました。挿絵、上手いですね。でも、私にとってアリスさんは、超一流の担当者だと思います。
確かに、宮本副編集長には、感謝しています。私がこうして漫画家でいられるのも、宮本副編集長のおかげです。宮本副編集長がいなかったら、今の私はいない、感謝しかない。 恩をあだで返すようなまねをして申し訳ありません、そんな気持ちです。
今後とも、末永くよろしくお願いします。担当編集者の仕事をメインとして、一緒に異世界を探しましょう。
メールの内容は以上だった。アリスは、すぐに夢先生へ返信メールを送った。
お気持ちは大変嬉しく、涙、涙です。明日からでも夢先生の担当として働きたいです。しかし、それではフェアではない。
私は編集者として、夢先生に認められ。宮本副編集長に認められなければなりません。
社長には、1ヶ月間、夢先生の担当として働き。その仕事ぶりを夢先生に評価してもらい。担当編集者として宮本副編集長がいいのか、私がいいのか、夢先生に選んでもらいたい。そして、宮本副編集長にその姿を見ていただき、編集者として合格なのか判断を仰ぎ。その結果、お2人が合格とみなさない限り、私は夢先生の担当にはなりません。ましてや、編集者にもなるつもりもありません。このことを社長にメールしました。
いきなり担当はなしです、申し訳ありません。
1ヶ月間、夢先生の担当編集者として働き。その仕事ぶりを見てください。何卒よろしくお願いします。
アリスの返信メールの内容は以上だった。
約束を破った夢先生は、一旦はアリスの返信メールに納得した。しかし、その日、夢先生は夢を見た。その夢の断片には、アリスは夢先生の担当になり、ある小説がきっかけでタイムマシンと出会い、異世界を見つけたが。そこには夢先生はおらず、陰ながら遠くで見守っていた。
そのことをアリスに話し。あの夢が正夢なのか、どうしてもそれが知りたい。アリスと一緒に異世界を見つけたい。その想いを優先したことを謝った。
アリスは、約束を破った訳を知り。夢先生は、宮本副編集長に1通の手紙を渡し。そこには謝罪文が書かれ、これを言われたら何も言えない文面が書いてあった。
異世界の存在を信じる担当編集者、異世界の存在を信じない担当編集者。いままでそこが引っかかっていた、何も言えなかった。
異世界の存在を信じる者が考える漫画には、異世界の存在を信じる担当編集者でなければならない。同じ考えを持つもの同士でなければならない。もちろん反対意見も大事です。しかし、根っこが大事ってことです。私の担当編集者は、やはりアリスさんです、申し訳ありません。
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