勝負の行方(4)

 アリスの書いた手紙は2通。1通目は、漫画家を諦めたこと、テスト内容、いろいろ思いついた漫画の異世界ネタなど、夢先生に対する想いが書かれ。そして、もう一通は、速達で出し、昨日届き。テスト変更内容と、この勝敗を決定づける内容が書かれていた。


 夢先生、2通目のお手紙、大変申し訳ありません、お許しください。


 突然ですが、夢先生に質問があります。異世界は本当に存在すると思いますか。

 その問いに、夢先生は、異世界は存在すると回答すると思っています。なぜこんな質問するのか。

 私には叶えたい夢があります。13歳頃から、異世界を探し出すことに、人生を賭けています。私は、誰がなんと言おうと、異世界は存在すると思っています。


 私は今日、夢を見ました。その夢の断片には、異世界への扉を見つけ、その扉を開き、輝く光。私の後ろにいるのは、夢先生。

 その異世界に行ったことは覚えていません。ただ、異世界の扉を開けたことは間違いありません、ただの夢ですけど。夢の中では、私は夢先生の担当者になり。夢先生は、異世界の扉を見つけるきっかけをくれた。これは異世界を見つけるチャンスだと思っています。


 確かに、これはただの夢です。しかし、この夢は正夢になると信じています。


 今日から私の夢は、夢先生と一緒に異世界を探したい、に変更します。勝手なことを言い申し訳ありません。私は、この夢をどうしても叶えたい。


 夢先生にお願いがあります。1ヶ月間、夢先生の担当編集者として働き。その仕事ぶりを夢先生に評価してもらい。編集者として宮本副編集長がいいのか、私がいいのか、夢先生に選んでもらいたい。

 夢先生と宮本副編集長の絆。この勝負、宮本副編集長の勝ち。そのくらいわかっています、それでもお願いします。


 この願い、お引き受けできない場合は、私は、異世界を探す夢を捨てます。

 もし夢先生が、異世界は漫画だけの世界、アニメだけの世界、異世界など存在しないと言うのなら、私は、異世界を探す夢を捨てます。

 このくらいの覚悟がないと、私はダメだと思っています。何卒宜しくお願いします。

 

 私は、異世界を探し出した後どうするのか、考えたことがありませんでした。あんなに異世界ものの漫画やアニメを見たのに、異世界を探し出すことしか頭になかった。もしかしたら心のどかで、異世界があることを証明したかっただけなのかもしれません。

 ただ、今思うのですが、異世界を探索するのもありだなと思っています。実際に異世界を冒険したり、探索したり、それを漫画のネタにするというのもいいですよね。


 私は、異世界を探すために夢先生の担当になりたい訳ではありません。夢先生の担当になり、その先に、一緒に異世界を探すという夢なのです。もし、私が夢先生の担当になったら、編集者として私なりの超一流の対応をさせていただく所存です。


 この返事は、大変勝手ながら、メールにて急ぎお願いします。大変申し訳ありませんがよろしくお願いいたします。


 2通目のアリスの手紙の内容は以上だが。1通目の手紙には、「えっ!? こんなに!?」とおもうくらい漫画の異世界ネタを書き。

 異世界は存在する。超能力もタイムマシンも存在する。妖怪はいる、幽霊もいる、宇宙人もいる、透明人間もいる、魔法も存在する。非現実的な数々に対する想いや考えを書いていた。特に異世界に対する想いは相当なものだった。

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