勝負の行方(2)
本日から1ヶ月間、アリスは夢先生の担当編集者になる。そこで、夢先生と顔合わせをすることになり。アリスは、夢先生にやっと会える、この日を夢見ていた。漫画、アニメDVDは全て持っている。『月刊少女ドリーム』、『週刊少年フラップ』は、父親が買って、それを読んでいる。父親の影響もあるが、夢先生の漫画に出会い、異世界は必ずあると信じている。
佐々木出版社は、東京都千代田区あり。ここから夢先生の仕事場までは、車で40分くらいかかる。
宮本副編集長とアリスは、出版社専用の車に乗り込み。車の免許を持っているアリスだが、今日は宮本副編集長が運転する。アリスは助手席に座り、夢先生の仕事場に向かった。
夢先生の仕事場に向う車内では、アリスは前方をずっと見ている、会話のない車内。アリスは緊張しているのか。いや、そうではない道を覚えようとしている。この車にはカーナビが付いているが。
夢先生の仕事場へ向かい、40分が経ち。夢先生の仕事場に到着し。アリスは夢先生の仕事場を想像していた。
アリスの目の前には、同じ敷地に2階建ての家が2件建っている。正面のから左側の建物が夢先生の自宅兼仕事場。そして、右側にある家は実家。
今年の3月に完成した、夢先生の自宅兼仕事場だが、結婚するかもしれない、いや、しないかもしれない、いろいろと考えていたら。1階が仕事場になり、2階が住居の3LDKになってしまった。
2人は車から降りると。そこには、夢先生が出迎えに駐車場まで来ている。
すると、夢先生はアリスに近寄り、いきなりのハグ。アリスは驚き、嬉しい。その光景を目の当たりにした宮本副編集長は困惑している。
アリスは、夢先生からのハグを解放され。
「……」
「ごめんなさい、つい、嬉しくって……滝沢さん、いや、アリス、一緒にあの夢、叶えようね」
アリスは、その発言に動揺し。
「夢先生、そのことは……」
夢先生は、宮本副編集長の方をちらりと見て、何かを思い出し、アリスに謝っていた。
この光景に宮本副編集長は、私はいったい何を見せられているの。それに、あの夢とは何。夢先生の私を見るあの目は何。それに、夢先生と滝沢さんは初対面のはず。この勝負は、編集長がメールで伝えだけ、それだけのはずなのに。
気にはなっていたけど、なんでこの勝負を夢先生は引き受けたのか、私がいるのになぜ断らなかったのか。確かに、この件は、私が受けた勝負だけど。まさか、いや、そんなはずはない。宮本副編集長は、何やら自分に言い聞かせている。
この時、夢先生に、あるスイッチがONになり。宮本副編集長は思ってもいない真実を知ることに。
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