「短編賞創作フェス」秘密

水曜

第1話

 むかしむかしの おはなしです。

 ひとりの とこやが おしろへ よばれました。

 これから おうさまの かみを きるのです。

「ここで みたことは だれにも いっては ならぬ」

 そういって おうさまは ぼうしを とりました。

 ぴょこん。

 なんと そこには ろばの みみが あったのです。

 とこやは どきどき しながら かみを きりました。


「びっくりした」

 だれかに はなしたくて たまりません。

「ひみつって くるしいなあ」

 とこやは たえきれなくて、もりへ いきました。

 ふかい あなを ほって、おおきな こえで さけびます。

「おうさまの みみは ろばの みみ!

 おうさまの みみは ろばの みみ!」

 きぶんは すっきり。

 つちを かぶせて かえりました。


 あるひ ひつじかいが もりで あしの ふえを つくりました。

 ふいてみると ふしぎな うたが ながれます。

「♪おうさまの みみは ろばの みみ~」

 こどもたちが おもしろがって まねを しました。

「♪おうさまの みみは ろばの みみ~」

 いつしか まちじゅうの ひとが うたうように なりました。

 おうさまの ひみつは みなにばれてしまったのです。



 ……この物語を聞いたエルフの子供たちは皆が首を傾げました。

「耳が驢馬みたいに尖っていることのどこが秘密なの?」

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「短編賞創作フェス」秘密 水曜 @MARUDOKA

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