第19話 個人戦④
浩介視点。
「大人しく負けるわけないわよね?」
「何言ってんだ!最初から負けるつもりでここにいねえよ!」
「そう、なら少しは楽しませてよね」
そうだ、俺はあの時から常に前を向いて歩いて進み続けた、もう俺は逃げない!。
『それでは、個人戦 一年生の部 二回戦、始め!』
『業火』
そして間髪入れずに燐が業火を放つ。
『液体化』
アチーッ!
俺の異能『液体化』は自分と触れたものを液体にする事ができる、そして物理的に攻撃は効かなくなる、その代わり熱さや寒さなどは感じやすくなる、正直な俺の異能は燐が一番の天敵だ。
「解除っと!」
「面倒くさいわね、真っ正面から来なさいよ!」
「そんな事したら俺が死ぬだろ!」
だが俺が勝つにはどうにかしないといけないのも事実だ。
今こそ訓練の成果を!。
『液体化』
そして舞台の地面を液体化した。
まだ地面の浅い所しか液体に変えられないが少しは動きが制限されるはずだぜ。
「俺の全部をかけて燐、お前に勝つ!」
『液体化』
自分自身を液体にして液体にした地面と混ざり合う。
俺は入学してからずっと液体になった俺の体を動かす訓練だけしてきた、でもそれは少し動く程度で実戦で使えるほどまでにはできなかった。
「小癪な手を使うようになったわね」
だがこうして他の液体と一瞬で同化するだから俺の場所や俺が解除した時に出てくる場所が分からなくてする事ができるようになった。
「出てこないなら、蒸発させてあぶり出してあげるわ!」
『業火』
燐は全身から火を出して火力を上げ続けた。
アッツい!ただただ熱い!だが俺の実際に受けているダメージはゼロだ、だから我慢勝負になる、燐が先に限界が来た時にできるほんの一瞬の隙ができるまで、俺は耐え続ける必要がある。
「私の隙が出るまで隠れるなら!私の全てを焦がして火力を上げる!」
更に火力が上がる。
痛い!熱さだけじゃなく痛みも感じ始めた、耐えろ!耐え続けろ!俺も進次郎みたいに覚悟を決めろ!。
「はあはあ」
ほんの一瞬、燐の息が上がって隙ができた、それを俺は見逃さなかった。
解除!。
解除したら俺の顔に触れそうな距離に拳が見えた。
「ヤバっ!」
「ふんっ!一瞬でも隙を作ったらアンタが突っ込んでくるなんてお見通しなのよ!」
「クソッ!」
そして顔面にモロに喰らってしまった。
「アンタにしては頑張ったんじゃない」
「俺は………まだ」
液体化を使おうとするが上手く液体化できない。
「もう終わりにしてあげる」
『業火』
熱さに耐えているが液体化できてない以上痛みは液体化していた時以上に感じる。
「ま……だ………」
そして朦朧とする意識で耐え続けた事で限界がきた体は自然と意識が遠のいた。
『個人戦 一年生の部 二回戦、朱嶺燐の勝利』
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進次郎視点
「おいおい!大丈夫かよ浩介!」
「なん…とかな、ちょっ…と保健室に…行ってくる」
大丈夫かな、一人で体がふらついてるけど、そして燐も舞台を降りてこっちに来た。
「燐は怪我してないか?」
「私は無傷よ、それより浩介はどうだったの」
「今保健室に向かってった」
少し離れて見てた莉子ちゃんが燐に勢いよく抱きついた。
「燐ちゃんと浩介くんが戦ってる姿は流石に心臓に悪かったですよ!」
「心配してくれてありがとう莉子、でも浩介は目を離した隙をついてくるからね、ああするしかなかったのよ」
「しょうがない事だけど、進次郎くんと私ずっとドキドキしながら見てたんですから!」
「確かに友達同士が戦ってる姿はあくまで実戦じゃないにしても心臓に悪かったな莉子ちゃん」
「はいっ!本当に!」
少しずつ莉子ちゃんも落ち着いて来た。
「しばらく俺達の番は来ないから二年生と三年生の戦い見に行かないか?」
「私は行くわ!先輩達がどんな風に戦ってるのか!」
「私は遠慮します、少し休憩しないと心臓に悪いです」
「じゃあ、燐と一瞬に見に行ってくるから莉子ちゃんはここら辺で休憩してて」
そして個人戦、二年生の部と三年生の部を見に走り出した。
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