第18話 個人戦③

「そっちから来ないなら!こっちから行くぞ!」


 そう言って俺との距離を詰める、恐らく何かしらの強化系の異能だな。


『変速』


 一旦距離を離し続ける。


「そうやって逃げ続けるのか、だったらお前の取り巻きの奴をこれが終わった後に土下座させてその動画をネットで吊し上げてやるよ!」


 遂に一線を越える発言をしたな、流石に俺の堪忍袋の緒が切れたぞ。


「逃げるのやめたのか!それなら大人しく俺にやられる事だな!」


 そう言ってコイツは俺に拳を振り上げる、そして俺は殴られる。


「ほらほらどうしたよ!殴り返してみろよ!」


 痛い、だが響いてこない。


「こんなカスみたいな何も背負ってないパンチで俺を一歩でも動かせると思ってるのか!」


「タコ殴りにされてる奴が負け惜しみを言ってんじゃっねえよ!」


 そしてコイツの拳を握って止めた。


「俺をどうこう言うのは別にいいが俺の友達にそんな事をしようとするなら問答無用で叩きのめす!」


「何を言って!」


『変速』


 俺は腕を加速させて音速を超えたパンチを顔面に喰らわす。


「アガッ!」


「覚悟もっ!」


『変速』


「アグァッ!」


「信念もっ!」


『変速』


「ウッ!」


「足りないお前に負けてたまるかー!!」


『変速』

『変速』

『変速』


 コイツから声を発せさせるな!降参の二文字が頭に浮かぶ事すらできないように!ひたすらに腕を加速し続けろ!。


「オラーッ!」


『変速』


「ガハッ!」


 最後に渾身の一撃を加えてこのクソ野郎は場外へと吹き飛んだ。


「これが本当のパンチだ!覚えとけ!」


『個人戦 一年生の部 一回戦、朝霞進次郎の勝利』


 パチパチパチパチパチパチパチパチ。


 俺はそのまま舞台を降りた。


「ふぅー危なかった」


 腕だけを加速させると脱臼しそうになるからな今回は上手く速度を調整できたから良かったけど。


「進次郎!やったな!」


 浩介には言わないでおこう、俺が負けてたら土下座してる所を動画で撮ってネットに晒すって言ってた事。


「どうせなら一発も喰らわないで勝ちなさいよ!」


「そんな怒るなよ、勝ったんだから」


「アンタに言ってないわよ!」


 こいつら最近、口喧嘩し過ぎじゃないか?、まあ喧嘩するほど仲が良いって言うから別にほっといてもいいか。


「しっ進次郎くん!そのっどう表現すればいいか分からないんですけど!」


 なんか莉子ちゃん興奮しすぎじゃないなんか。


「とにかく凄かったです!」


 顔近すぎっ!


「うっうん!ありがとう」


 やっぱり顔が近いよ莉子ちゃん!


「それより次は私の番ね!」


 そういや次の二回戦は燐と………えっ!?。


「手加減しないわよ浩介!」


「絶っ対に俺が勝つ!」


「私が勝つ!」


 やっぱり仲良いよなこの二人。


「いや俺が!」


「いや私が!」


『では二回戦に移ります、出場する方は速やかに舞台に上がってください』


「二人ともさっさと行けよ!」





 そして二回戦が幕を開ける

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