第10話 一ヶ月後

「はあー今日もやっと終わった、なあまた自主訓練に付き合ってくれ進次郎」


「分かったけどやり過ぎだぞ」


 あれから一ヶ月が経った、俺はあの時起こった事をそのまま大佐さんにありのまま伝えてその日は終わった、それからは普通の毎日が続いている、巣腹操糸に言われた言葉が心につっかえたままだ。


「しょうがねーだろ、俺の異能は派手じゃないし攻撃にも使えない、それにもう俺は逃げる事しかできないような漢にはなりたくねー!」


 浩介はあの時自分が逃げる事しかできなかったのが悔しいみたいであの日以降ずっと俺と一緒に自主訓練をしている、後何故か漢感が増した。


「バッカみたいに訓練訓練ってよく飽きないわね」


「うるせえなー!」


「燐、そこまで言う必要ないだろ」


 朱嶺燐、今では燐って呼んでいるあれから反省したのかほんの若干だけど戦闘狂感が無くなった。


「燐ちゃんそんな事言っちゃだめだよ」


 莉子ちゃんはあれから自分の異能『血操』をずっと訓練していて、前よりも操れるようになったらしい。


 そして何よりなんであの時のメンバーが今でもこんな風に話をしているのかというと実はあの野外実戦訓練でのグループ分けはこれから三年間一緒の分隊で活動するためのグループ分けだったらしいクラス全員がそれを後から聞いてアゴが外れるぐらい驚いた。


「おい、話をしている最中すまないが進次郎と燐を借りるぞ」


「はっはい!分かりました、進次郎今日の訓練はなしにしよういつまで待つ事になるか分かんないから」


「分かった」


「莉子、ごめん!一緒に帰るはずだったのに」


「いいよいいよ、じゃあまた明日ね燐ちゃん」


「うんまた明日」


 そして大佐さんと燐と一緒に教室を出てどこかに向かっている。


「俺と燐に何かようでもあるんですか?」


「用のがあるのは私じゃない」


「じゃあ誰が」


「ここだ、ここにいる奴がお前達に用があるみたいだ」


 そして何の部屋かと見てみたら生徒会室と書かれている部屋に立ち止まっていた。


「生徒会が私達に用って」


「そんな呼び出されるような事なんかした覚えはないけどな」


 入学式の事はもう終わったはずだし。


「いつまでも立ち止まってないでさっさと行け!」


「「はい!」」


 そしてノックをして部屋に入る。


「「失礼します!」」


 中に入ると五人それぞれの席に座っていた。


「ちゃんと挨拶するのは初めてだね私は九重雫ここのえしずく、一応生徒会の会長をしています、でそこに座っているのが副会長の水無月駿みなづきしゅん


「君達が今年の特例君達だね、これからよろしくね!」


 何というか明るい人だ光って見える(言い過ぎ)、というか燐も特例なのかよ!全く気づかなかった。


「でこっちが書記の七瀬希空ななせのあ


「希空先輩って呼んでね〜よろしく〜〜」


 なんか猫みたいな感じで液体みたいになってる。


「そこの眼鏡かけてる人が会計の」


「私の名前は郡城正暉ぐんじょうまさきだ、これからよろしく頼む」


 すごく完璧主義な感じがする。


「でこっちの」


「はいはいはーい!私の名前は煌坂星璃こうさかあかり!、生徒会では広報を担当しています!」


 なんかアイドルみたい、それに髪色がピンクで派手だ、地毛かは分からないけど、というかちゃんと会長に紹介させてあげて!。


「これで自己紹介が終わった所で本題に入る」


 緊張してきた。


「今まで特例に選ばれた人が生徒会に入るのが伝統になっている」


「えっとつまり俺達も生徒会に入るって事ですか!」


「そうなるね」


 どうしよう、別に嫌という訳じゃないけど。


 そしてしばらく沈黙の時間が一分ぐらいつづいた。


「私は生徒会に入ります」


「えっ燐!」


「だって異能学園の生徒会は軍に入った時のキャリアにも影響力があるしそれに私は早く姉さんやお父さんの隣で戦いたい」


「そうか」


 そして再び俺は考えようとしていた時に生徒会長が口を開ける。


「一応言うけど辞退とかはできないよ、一年は絶対に生徒会で活動してもらう事になってる、だから私の年代の奴は一年やってから生徒会を抜けたよ」


 そういうのを早く言ってくれよ!。


 だけど確かに一学年に特例は三人必ずいる、でも生徒会には五人しかいない。


「分かりました、お試し期間だと思って一年間よろしくお願いします」


 パチパチパチパチ。


 あれ?でももう一人いるはずだよな俺達の学年にもう一人特例が。


「あと特例一番の進次郎くん、特例二番の燐さん、で二学期に特例三番の子は合流する事になってるよ」


 そうなのか。


「じゃあ明日から生徒会補佐として二人は仕事をして貰います、ちょっと長くてごめんね、今日はもう帰ってもらっても構いませんよ」


「「はい!失礼します!」」


 そしてそのまま俺は家に帰った。





「そういや、生徒会長の人どこかで見たような……気のせいか!」


___________________________________________





 そして二時間後、生徒会も解散した生徒会室に九重雫と七瀬希空の二人だけがいた。




「ねえねえ雫〜、みんな黙ってあげたけどさ〜、生徒会に入るのって別に退ってできるよね〜」


「そうだね希空」


「そんなにあの進次郎って子を生徒会に入れたかったのかな〜って思って〜、雫とって〜あの子の何なのか気になるな〜?」


「私にとって進次郎くんは…………


「そうなんだ〜色々ありそうだから聞かないでおくね〜」


「助かるよありがとう希空」


 そして二人は生徒会室を出て家へと帰っていった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る