第9話 野外実戦訓練②
「作戦、あるんだよな!」
「あるわけないわよ!ただただ最高火力で焼き尽くす!」
「山火事になるぞ!」
「ならないわよ、それぐらいなら調整できるから」
じゃあ最初から他の異獣を倒せただろ。
「ゴガーーーッ」
異獣が拳を振り下ろし、その拳を二人とも避けた。
「それよりアンタも一緒に戦うんだったらさっさと行くわよ!」
「ちょっ!」
コイツを連れ戻すのはもう無理だな、それより大佐さんの炎獣がどこにもいない、どうなってるんだよ、クソッ!それよりこの異獣をすぐに倒さないとな!。
「くらいなさい!デカ物!」
『業火』
一瞬で異獣が火に飲み込まれた。
嘘だろ!熱気がというか熱い!木に燃え移ったらどうするつもりだよコイツ!
そして火に飲み込まれた異獣は動かなくなった。
「どうよ!見たでしょ一瞬で消し炭にしてやったんだから!」
コイツ、完全に性格変わってる。
だが異獣はまた動き始めた、それにコイツは気づいてない。
「おい!後ろ!」
聞こえてない!興奮しすぎて完全に油断してる。
そして異獣はまた拳を振り下ろそうとしている。
「間に合え!」
『変速』
ドッスーーーーーン!!!
「はぁはぁ、ちゃんとしてくれよな」
「ごめんっ!完全に油断してた」
拳が直撃するギリギリで助けられたからよかったけど。
「おい、お前はもうアイツと戦うな」
「さっきは油断してただけだから今度は!」
「アイツは俺がやる、その代わり後ろ見てみろ」
後ろには小型の異獣が十匹以上いた。
「お前はアイツらをやれ」
「しょうがないわね、分かったわよ」
「よし、俺は行くからお前は後ろの奴頼んだぞ」
「分かってるわよ」
そして二人はお互いの背を任せあって走り出す。
『変速』
まずはアイツの注意を俺に引きつける。
『武器化』
手を拳銃に変えてバンバンバンバンと異獣の頭付近を狙って撃つ。
「やっぱり効かないか、あんまり異能に異能をかけるのは俺の負担が大きいからあんまり使いたくないんだけど」
『武器化』
次は腕をスナイパーライフルに変えた。
そしてバンッ!と放った瞬間。
『変速』
弾が加速して異獣の脳天を貫く。
「かー、やっぱり異能に異能を使うとドッと疲れるは、それより大丈夫かなアイツは」
少し離れた所にいるが見える、異獣を次々と焼き尽くす人の姿が。
「大丈夫そうだけど、一応俺も手伝うか」
そう言って走ろうとした、だが何故か体が動かない。
「なんだ!体がっ!力を入れても動かない!」
するとさっきまで感じていなかった、人の気配が倒したはずの異獣の方から感じる。
「あーあ、この失敗作の異獣でも多少は傷をつけれると思ったんだけどなー」
どこから現れたんだアイツは!
「あっ!ごめんねー俺は
やべーぞ!あの研究所からでも壊滅したはずじゃ!
「おービックリしてるね、まあそうだよねーあんな研究所の裏に運営していた奴がいたなんて分かるやつは軍にもいなかったみたいだし、それに研究所はいくつも世界にあるし」
あの研究所を運営していた奴がいたって事は不思議じゃない寧ろ運営してる奴がいないのにあそこまで大胆に出来るやつはいないからな、だがあそこ以外にも研究所があるのか!あんな腐った研究所が!。
「おっと!もう行かないとね、君の教官さんがこっちに来てるみたいだし、じゃあね朝霞進次郎くん、今度会う時は君を殺す時だ」
そしてそいつは俺の前から姿を消した。
「大丈夫か!」
「一応大丈夫です、大佐さん」
進次郎の知らない間に運命の歯車は既に動き始めている。
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