エピローグ ありがとう

エピローグ ありがとう

 

 

 その後、世界はめまぐるしく変わった。魔族と人間が共存する世界が来たのだ。もちろん反対派の意見もあった。だが、

「今ここでこの過ちを正さなければ、いつまでも世界は平和にならない!問題を先送りにして、課題を後世に残すだけになってしまう!それでは……彼を殺した意味がありません……。」

 その強い言葉に押され、結局世界は魔族と融合していった。互いが互いを尊重し合い、平和に暮らしている。

 

 

 アキラは残ったダンジョンなどを片っ端から攻略しているようだ。また、魔法道具マジックアイテムの収集も忘れずに。

「やったあ!今回の報酬めっちゃいいじゃん!金にしたら何スルートになるかな⁉︎」

 いつもと変わらない、アキラがそこにはいる——

 

 

 ユーリは腕は失ったが、天下無双流の育手そだてとして、後世に剣術を伝えている。でも、教えるのは基本的な技だけだ。

「俺の生み出した技は、あまりにも平和の文字に合わねえからなあ!」

 そう言って笑っている。いつまでもいつまでも——

 

 

 まほなとクーゲルは、残った文献を全て集計するようだ。

「これを後世に伝えないとね。」

「私たち魔族も協力するわ。」

 紅茶を飲みながら、また1ページを紡いでいく——

 

 

 そしてシオンは、英雄として、世界に名を残した。でも、決してスゴいわけじゃない。みんながいて、ここまで連れてきてくれたから、結果的にそうなったんだ。みんなの後ろ姿を彼は見ている。決して忘れることなく——

 

 

「きっと、見てくれてるよな。」

 死んでいった仲間の顔が浮かぶ。

「俺が繋ぐからよ。見ててくれよ?」

 そう言って笑って、また一人、街に繰り出した。

「さて、今日はどんなさんざんな日になるんだろうな。」

 

 

 そして、君に一生分の「ありがとう」を、今年も来年も、その先も。ドラマや映画の王子のように才能はないけれど。

 君の言の葉を紡いで、思いのせて未来につなぐ。

 夢に向かって進んでく、僕の後ろ姿を。そして、

 

 

 新しい空へ——

 

 

さんざんな俺らの魔王討伐記 これからも世界は続いてく……

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