2章

護身用ナイフ

仕分けをした物を持って、鍛治場に戻って細かく分解しながら部品ごとにわかりやすく分けていると、クラクが「大型の動物狩ったんだけど捌くものある?」と言って入ってきた。

俺はクラクに「あの包丁を使っていいぞ。ただし自分の手を切らないように注意しろよ」と言ってアイウィンに持ってくるように指示する。

アイウィンがクラクに包丁を渡すと鍛治場から出ていき、少ししたら戻ってきて、「これどうなってんだよ!」と大声で言ってきた。

何かあったかと思い慌ててアイウィンと見に行くとクラクが「なんで骨まで切れてるんだよ。こいつの骨はナイフでは絶対断てるはずないのに…」と言っていた。

俺は近寄って骨を見てみるとクラクの腕の太さぐらいあった。数字にすると大体直径10cmぐらいだった。

アイウィンが「確かに普通の包丁なら絶対に切れない太さね」と苦笑しながら言っていた。「普通の包丁ならか…」と俺は呟き、クラクが持っている包丁を見ていた。

少しして、落ち着いたクラクが再び解体し始めて、業務用スーパーに売っているサイズまで切り分けた。

それを見ながら(みんなのナイフがあった方がいいな)と思った。もちろんおかしな切れ味を持つようなナイフではない。

俺は(「研ぎに行く」や「曲がり直し」、「打ち直し」などを口実に帰って来れるようにしておくのと、単に護身用として一本持っていたほうがいい)と思った。

思い立ったら即実行がいつものことで、気づいたら、すでにナイフの形をした鉄片が2つあった。そして今3つめを作っている最中だった。

どこをどの程度の強さで叩けばいいかが感覚でわかる。

3つめを作り終えたので残りの2つをやすりで凹凸を無くしていく間に作った3つめが冷める。

全て削り終えたら全ての包丁に焼入れをする。

焼きを入れて歪みやヒビの確認をした後、研ごうとしているとアイウィンに止められて、ようやく周りが暗くなっていることに気づいた。

俺は「すまん、のめり込み過ぎてた。ありがとう」と言った。

アイウィンは照れくさそうに「体調を崩すので…」と言っていた。

そして家に戻り、飯を食べて(街にいつ行こう…)とか考えながら眠りについた。

朝目覚めて、朝食を食べて鍛冶場に行き、研ぎ始めた。

俺は研ぎながら、(砥石車やグラインダーなんかがあれば早いな、この世界にはないだろうけど)などをこの先のことについて考えていたら、あと2本で全て完成までできていた。

2本の仕上げをしているとアイウィンが「昼ご飯どうしますか?」と言ってきたので俺は「仕上げを済ませたら食べる」と言い、砥石にナイフを当てる。

それから少ししてから全て研ぎ終わった。

俺はナイフに油を塗ってから少し遅めの昼ご飯を食べた。

昼ご飯を食べ終えると、鞘と柄を作った。

鞘はとてもシンプルで、柄は滑り止めにザラザラした溝を鑢で削っておいた。

そして全てのナイフを神棚に置いて、刀を持って鍛冶場を出た。

俺は居合の要領で抜刀して、型をやって納刀しようとした瞬間、ものすごい殺気がこちらに向いているのに気がついた。

振り返って見てみると、不気味なオーラを纏った熊のようなやつが今にも突進してきそうな感じだった。

俺は咄嗟に刀を構えていた。だが手足が震えている。

俺は深呼吸をして、脱力する。

そして刀を相手から見えないように体の後方へ持っていき、腰を落として相手を見据える。

相手が動き出す瞬間を狙って、間合いを見極めて切り込む。すると何の抵抗もなく刃が相手の胴体を通り抜ける。

あまりにも感触がなくて、俺は(かわされた)と勘違いをして、慌てて向き直る。向き直って2、3秒した時に胴体がズルッと落ちてこときれていた。

俺は「何だったんだこれ」と言って熊にような物をみる端の方から徐々に崩れてきていた。

するとニュールが家から出てきて、ビックリした様子で「1人で魔獣を倒したの?!信じられない…」と言ってきた。

ニュールいわく「魔獣はまれに森で生まれて、全ての動物に対して攻撃的で見る動物全て殺す勢いで襲い掛かってくる。そして、魔獣1体に対して50人の騎士団で五分五分」だそう

また、「魔獣の中から出てくる物は売れる」とのことだった。

俺は崩れきった魔獣の中から出てきた物を見ると、奴隷の首輪に使われていた魔石もあったが、それより金属のようなものがある方に俺は唆られた。

俺はその金属を見て首を傾げていた。なぜなら前世で見たことのない金属で、アイウィンが言うには「ミスリルですね。しかも高純度」とのこと。

俺は魔石とミスリルを拾うと鍛治場に戻って神棚に置いた。

そして鍛治場を出て家に戻り、夕飯を食べて布団に入った。

布団に入ってしばらくするとニュールとアイウィンが寝返りしながら近づいてきて、俺は2人に挟まれた。

翌朝起きると、作ったナイフを取りに行き「さてと、みんなにこのナイフを渡す」と俺は言って渡していく。

ニュールは「やった」と言い、リーシアは「綺麗」、クラクは「便利そうだな」とそれぞれ感想を言っていた。

ルードとアイウィンはまた今度作るとして、そのほかのみんなに渡しておいた。

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この小説は趣味程度でやりますのでこれから更新がかなり遅くなります。

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