包丁の制作1

朝起きて鍛冶場に行くとニュールが玉鋼を見たいと言って来て、特に隠したりするものでもないしいいかと思いながら神棚から玉鋼を下ろすと気のせいかもしれないが昨日より少しかがやいている。

するとニュールが「神様の加護がついてる…」と気の抜けた声と顔で玉鋼を見ていた。

自分にはよく分からないので今日はこの玉鋼を使って包丁を作ることだけを考えながら炭に魔法で火をつけ、鞴で空気を送り炭に付いている火を広げつつ温度をあげていた。

そして包丁にするのはもったいないと言っているニュールを横目に火床(ほど)の中に玉鋼を入れ炭を上に被せ、鞴で温度を上げていく。叩ける温度を測るには長年の感と炎の色を見て判断する。

いい温度になったところで取り出して固めるように優しく槌で叩きかしめていく。叩いているうちに冷めていくのでまた火床に入れて赤める。

その間に金敷に落ちた酸化膜や炭などを掃除する。そうしていたらニュールが炭を近くに持ってきてくれた。その時に前世の弟子たちを思い出していた、俺が「元気にしているだろうか?」とニュールに聞こえない程度につぶやく。

そうしてるうちにまた玉鋼の温度がたたける温度まで上がり、火床から取り出して今度は強く叩き、少し潰したところで温度が下がったのでまた火床に入れる。

ニュールが今の工程は何をしているのか聞いてきた。

俺はニュールに「玉鋼を平たく潰して割り、中にある柔らかい鋼と硬い鋼を分ける作業をしている」と玉へしという工程の説明をニュールに教えた。

そうこうしているうちにまた叩ける温度まで上がって来たので、火床から取り出し今度は半分をかなり強く叩き、厚さ10mm〜15mmくらいに平たくする。

箸を持ち替えて反対側も同じくらいにする。そうしているうちに温度が下がって来たので火床に入れ、また温度を上げる。

ニュールに「次はかなり大きな音が出るから気おつけてくれ」と言ったらコクリと頷いて少し離れたところから見ていた。

玉鋼の温度を見たらいい温度になっていたので金敷を水で濡らし、火床(ほど)から取り出して金敷の上に素早く乗せ、槌を水から勢いよく出して玉鋼を叩いた。すると「パァン!!」という音と共にニュールがビクッとして壁の後ろへ隠れた。

それを気にせずその作業を3回繰り返し、水の中に突っ込んで焼きを入れた。

ニュールが恐る恐る近づいて来て何をしたか聞いてきた。

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この小説は趣味程度でやりますのでかなり更新が遅くなります。

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